経営の健全性・効率性について
今後、人口減少社会を迎えて使用水量が減り、更に節水意識の高まりで給水収益は減少をたどる。また、施設は老朽化して更新維持していくための費用が増加する。数年にわたる赤字決算のために当事業は多大な累積欠損金を抱えている。この累積欠損金を解消するには、毎年黒字決算になることが必要である。そのためには、給水収益の増加が必要で人口減少社会に対応した水道料金体系が必要である。また、当事業は短期的な債務に対する支払能力が類似団体平均値を大きく下回る。平成28年度末の企業債残高は836,400千円で、給水収益の5.4倍である。これは、類似団体平均値4.8倍を上回るもので、投資規模に対して給水収益が低いと考えられる。また、料金回収率は100%以上が求められるが、当事業は97.29%である。給水に係る費用が給水収益で賄えていないことが示されている。給水原価は181.20円で類似団体平均値よりも低いが、投資の効率化や維持管理費の削減等の経営改善が必要である。有収率は、類似団体平均値よりも下回っている。老朽管の建設改良により有収率を上げる努力をする必要がある。
老朽化の状況について
平成28年度末で減価償却率は51.13%で類似団体平均値に近い値ではあるが、管路だけでなく施設整備も更新の時期を迎えている。上水道地域の管路の延長の20.42%が布設後40年以上経過しており、高度経済成長期に布設した管路の大量更新の時期に入っている。管路の更新については、平成29年4月簡易水道と統合後の決算状況を予測し財源を考慮しながら、取り組んでいく必要がある。
全体総括
全体的に設備の老朽化により、有収率の低下を招いている。資金不足を解消し、老朽施設及び管路の改良を行っていくことが必要である。そのための収益の増加が必要であり、料金体系及び料金水準の見直しとして、平成29年4月使用分から料金改定を行う。平成29年4月から簡易水道と統合する。統合後の収支状況等を予測し経営戦略を策定する。平成29年4月からの料金改定後、統一された料金体制を目標とする。