経営の健全性・効率性について
経営収支比率は全国平均は下回っているものの、類似団体平均は上回っており、100%を超える状況が続いている。流動比率が全国平均および類似団体平均を下回っているのは企業債残高の元金、利子償還金が多額になっている事に加え、給水人口の減少等による給水収益の減少であり、流動資産や流動負債のバランスとフローである現金預金の流入、流出の両面から検討することが求められる。料金回収率は、前年に比べ5%ほど上昇している。これは平成29年度に突発的にな浄水設備の改修を行われ、平成30年度はそれが無いため、総費用が抑えられた事により、給水原価が下がったことが要因と考えられる。また、当町は料金回収率が全国平均および類似団体平均を上回っているが、繰入金等の収入で単年度黒字となっているにすぎず、多額な有形固定資産減価償却費、企業債償還利子が経営を圧迫している状況は変わりない。給水人口の減少は給水収益の減少につながり、施設の配水量、有取水量にも影響を与えている。収益の減少傾向は今後も続いていくと見込まれることから修繕等維持管理費用の縮減、業務運営改善が課題となる。有収率については昨年から見ると幾分改善されているが、全国平均及び類似団体平均値より依然として下回っている。今後も漏水している世帯への周知や、必要に応じて本管及び管末の漏水調査を実施していく。
老朽化の状況について
老朽管の更新は平成26年度で終了しているが有形固定資産減価償却費率が高く、全国平均及び類似団体平均値をを上回っている。浄水施設の各種計測機器、設備等についても老朽化が懸念される。今後見込まれる更新需要については、給水収益の状況を的確に把握し、適切な規模の更新投資にも目を向けながら、事業運営していく必要がある。また、新発債の抑制、維持管理費等の固定経費の縮減等を図り、財源確保に努めていく。
全体総括
給水人口の減少により給水収益が減少傾向にある中で、人件費や浄水施設の維持管理に伴う固定経費、有形固定資産減価償却費、企業債償還利子等は大幅に減少する見込みはなく、経営環境は厳しさを増しつつある。将来の水需要の減少、施設の更新需要の増大を見据え、必要に応じてダウンサイジングによる施設の統廃合、整理合理化等、適切な施設規模を検討する必要がある。施設の適正化を図ることが、施設の有効利用につながっていくことで、経営基盤の強化に努め、持続可能な財政運営に向けた取組を進めていく。