地域において担っている役割
町内唯一の病院として二次救急医療機関としての役割を担いながら、青森地域保健医療圏では後方支援病院として、回復期・慢性期医療を提供している。また、在宅復帰を支援するため、在宅医療(訪問診療、訪問看護、訪問栄養指導、訪問リハビリテーション)にも積極的に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
平成26年10月に地域包括ケア病床を導入して以降、病床利用率は類似病院・全国平均を上回り、高い水準を維持し安定した収益の確保につながっている。このことにより、経常収支比率は改善傾向にあり、また、患者一人あたりの収益も増加傾向にある。令和2年4月から常勤医を1名採用し医療体制確保に努めたところであるが、新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、患者数は減少傾向にあり、医業収支比率、給与費比率、材料費比率とも令和元年度に比べ数値改善には至らなかったものである。累積欠損金比率については、年々減少し、類似病院平均を下回ったが、今後も経営改善を継続しつつ、累積欠損金の解消に努めていかなければならない状況である。
老朽化の状況について
平成8年4月の移転新築後から、約25年が経過しており、建物、設備及び医療機器を中心に老朽化が進んで維持管理費が増加傾向にある。これに伴い、有形固定資産減価償却率が全国平均を上回り老朽化を裏付けている。器械備品減価償却率は、平成30年度は電子カルテを導入し一時的に下がったものの、1床当たり有形固定資産は年々上昇傾向にある。特に令和2年度は新型コロナウイルス感染症関連の医療機器等を整備したことも影響している。今後も必要最低限のものを取捨選択し、経営状況とのバランスを考慮しながら計画的かつ効率的な維持管理を実施していく必要がある。
全体総括
現状では、経営の健全性は概ね確保されていると考えているが、今後は、人口減少による医療ニーズの低下も懸念されることから、引き続き訪問診療など在宅医療を行いながら、必要な医療提供を着実に実施していきたい。一方で、施設の経年劣化に伴う維持管理費用の増加が見込まれることから、当院を取り巻く経営環境は一層厳しさを増していくと考えられる。令和2年度は新型コロナウイルス感染症関連の医療機器等を整備し一床当たり有形固定資産も増加傾向にあるが、今後も、施設設備等の延命化などの工夫により支出を抑えるとともに、収入の確保に努め、更なる経営努力をしていく必要がある。