地域において担っている役割
当院は、津軽地域医療圏の中核的な病院として、市民の健康を守る責務を担い、医療を提供している。また、内科、小児科、外科の二次救急輪番病院として、地域の救急医療に取り組んでいる。
経営の健全性・効率性について
健全性について、平成27年度までは医業収支、経常収支ともに平均値に近い値であり、比較的安定していたと言える。しかし、平成28年度から患者数の減少に伴い収益が減少し、令和元年度においても、一般外科の休診に伴う常勤医師の減少、二次救急輪番の実施回数の減少などにより、患者数の減少傾向に歯止めがかからず、経営状況はさらに厳しいものとなっている。効率性について、令和元年度は前年度に比較して給与費比率が上昇している。材料費比率については、前年度よりもやや改善されたものの、平均より高い傾向が続いているため、可能な限り効率的な使用を目指したい。
老朽化の状況について
施設全体、器械備品ともに減価償却率が平均より高く、実質的な資産価値の減少幅が大きいことを意味している。1床当たり有形固定資産額についても、平均値を大きく下回り、適切な投資がなされていないことを示している。当院は昭和46年の建設から約50年経過しており、数値上は早急な建替が必要と考えられる。しかしながら、「新中核病院の整備及び運営に係る基本協定」(平成30年10月4日、国立病院機構・弘前市・青森県・弘前大学の4者により締結)により、当院は、新中核病院の稼働に伴い閉院することとなった。このため、施設修繕や建設改良工事は最小限に留めることとしている。
全体総括
当院は現在、「新中核病院の整備及び運営に係る基本協定」に基づき、国立病院機構弘前病院との統合による新中核病院の整備を目指し、国立病院機構と協議を進めているところである。令和元年度は、常勤医師の減少やこれに伴う二次救急輪番の実施回数の減少などにより、患者数の減少傾向に歯止めがかからず、患者数の減少による収支不足を、一般会計からの繰入金により補うこととなった。このような厳しい経営状況は今後も続くと思われるが、新中核病院の整備がなされるまでは、診療機能を維持し、地域医療の中核的な担い手としての役割を果たして参りたい。