地域において担っている役割
当該町内において入院病床を持つ唯一の医療機関である。眼科、整形外科、脳神経外科、泌尿器科、皮膚科、精神科、小児科については町内に他の診療機関が無く、通院の利便性の確保等の観点から外来診療を実施している。また人工透析を実施しており慢性維持透析患者の対応を行っている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、患者数の減等により年々落ち込んでおり、H30年度決算で単年度資金不足の状態となった。R元年度においては経常収支比率が100を超え黒字化を達成しているが、前年度末の資金不足による資金繰りの悪化の解消のため、一般会計からの繰入を大幅に増額したためであり、R2年度は再び100を切り赤字となっている。病床利用率は全国平均を上回る状況で推移しているが、一方で入院診療単価が全国平均を大きく下回っているため収支の改善に向けて、地域医療計画を踏まえ回復期機能の強化に取り組んでいる。
老朽化の状況について
現在の施設はH12年度から稼働で20年が経過し、建物付帯設備の減価償却が完了したところで、償却率は全国平均に比べ概ね15ポイント高く推移している。建物付帯設備の更新を計画的に進めなければならないが、収支の状況や医療機器の更新の状況と合わせて考慮しなければならず、滞っている状況である。1床当たりの固定資産額を見ると、全国平均を大きく上回っていることから更新の際に機器の必要性を改めて検討し、更新の取捨選択が必要と考えられる。
全体総括
過去の資金不足の対応のためR元年度において多額の一般会計繰入を実施して対応したが、一般会計の財政状況も厳しい現状では、繰入依存を抑制していく必要がある。診療圏域の人口減少による患者数減の影響により、年々収益が下がっている状況であることから、地域医療計画を踏まえ診療圏域のニーズに即した医療の提供により患者と収益の確保に取り組まなければならない。一方で費用は人件費の占める割合が非常に高いが、サービス提供に必要な基準人員の確保のためには止むを得ない部分もある。少なくとも資金不足とならないような経営を続けながらも、医療サービス提供体制について抜本的な検討を行う必要がある。