経営の健全性・効率性について
池田町下水道事業は、平成31年4月1日から地方公営企業法の適用を受けたため、経営比較分析表中の平成30年度以前の数値は記載されていません。経常収支比率は平均値とほぼ同じであり、累積欠損金は生じていません。流動比率は平均値の半分程度となっていますが、地方公営企業法の適用から2年目であり、今後の適切な事業運営により流動比率を高めていくことが出来るものと判断しています。経費回収率が昨年度より大きく減少しているため、汚水処理費用の抑制を図る必要があります。また下水道使用料が処理費用に見合うものとなっているかの検証を行う必要があると判断しています。経費回収率の減少に対して汚水処理原価は上昇することから、今後の推移を注視していきます。施設利用率の上昇により汚水処理水量が増加していることが分かります。コロナ禍による巣ごもり需要により有収水量が増えたことが一因となっていますが、同様に無収水量の増加も施設利用率を押し上げていることから更なる分析が必要となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は全国平均を大きく下回っていますが、昨年度から比較して上昇しています。平均値を下回る原因は、公営企業法適用時点で既に残存価格に迫っている資産が多いためです。数値以上に老朽化が進んでいると判断しています。管渠改善率及び管渠老朽化率は共に数値が0%となっていますが、これまで管渠更新工事を行っておらず数値として反映されていないためです。現在、汚水処理設備の更新工事に注力しているため管渠更新は先送りとなっていますが、管渠更新及び修繕計画を検討する時期にあります。
全体総括
令和2年度はコロナ禍の巣ごもり需要の影響により、僅かながら下水道使用料収入は増加しましたが、人口減少による影響は今後も避けられません。汚水処理設備の老朽化による維持管理及び更新経費の増加が見込まれること等、経営環境の厳しさにも変化はありません。下水道供用開始から相当経過しているため、汚水処理設備の老朽化、維持管理経費が増加しています。工事費用の増加、事業者の確保が課題となっている等、経営環境はむしろ悪化しているといえます。処理設備の更新はより一層効率的に行い、汚水処理を安定的に継続するため効率的な資金投下を行う必要があります。また、経費回収率の減少があることから、下水道使用料が適正か否かの判断、現状に応じた経営戦略の見直し及び広域化の検証を行う必要があります。