経営の健全性・効率性について
収益的収支比率はここ数年上昇傾向であるが、84.94%と依然として低い水準にあり、地方債償還金及び収支不足額については一般会計繰入金と基金繰入金に依存している。経費回収率についてもここ数年上昇傾向にあり、経費回収率は類似団体平均値より5.61%高くなっているが、それでも45.25%と低い水準にあり、使用料だけで経費を回収することは難しい状況が続いていることから、適切な料金収入の確保が望まれる。起債残高は減少傾向にあるが、企業債残高対事業規模比率については、類似団体平均値を1,109.49%と大幅に上回っている。漁業集落排水施設は平成13年度の供用開始から20年程度経過しており、今後の老朽化対策として、令和2年度に施設機能診断を実施した結果、施設の補修、更新が必要との診断が出されたことから、今後施設の更新事業を実施していく必要があり、起債残高は増加していくことが見込まれる。施設利用率は、類似団体平均値を15.90%下回り、14.29%とかなり低い状況にある。水洗化率は緩やかに上昇を続けてはいるが、類似団体平均値を0.33%下回っており、人口の減少が進む中、もともと処理区域内の人口が少ないこともあり、新規接続は今後停滞していくと考えられる。処理能力に対して施設稼働状況はかなり余裕があるので、最大時の稼働率を考慮しながら、施設の規模適正化を検討する必要がある。
老朽化の状況について
管渠については、平成13年度~17年度に供用開始されてからまだ耐用年数を経過しておらず、更新を実施していないことから、管渠改善率は0.00%となっている。
全体総括
使用料収入では汚水処理費の4割程度しか賄えていない状況が続いており、一般会計繰入金により経営の健全化が図られていることから、料金適正化などの経営改善が必要な状況ではあるが、同一会計の特環下水道事業と料金格差をつけることは難しいため、下水道事業全体での料金適正化を検討していく必要がある。効率性に関しては、施設利用率及び水洗化率が類似団体平均値を下回っており、特に施設稼働率については低水準で推移していることから、施設の規模縮小も含めた適正な施設規模の検討が必要と考えられる。管渠については耐用年数を経過していないため、当面の間更新は必要ないが、不明処理水があることから、破損個所の調査など対策の検討が必要となっている。