地域において担っている役割
北空知二次医療圏の中核病院として高度医療機能と圏域で一般病床を有している唯一の病院として急性期医療を担っている。また、地域住民にとって必要な救急医療、災害医療、感染症医療、へき地医療など、採算性が低いため他の医療機関では提供できない医療機能を担っている。
経営の健全性・効率性について
令和元年度は新型コロナウイルス感染症の影響により収益が下がったため、収益に関する比率は若干悪くなった。しかし、入院患者の確保や診療単価の上昇により病床利用率や収益が伸びているが、患者1人当たりの収益が入院、外来ともに平均値より低い状況である。常勤医師不在の診療科の影響も大きいと思うが、加算の取得等を確実に行う等の体制強化も継続して取り組みを行っていく必要がある。また、医業収益に対する材料費、職員給与費の比率は前年及び平均値よりも下回っており、過剰な経費となっておらず、健全性は確保されていると思われるが、引き続き経費削減に向けた取り組みを継続し、経営改善を進めていく必要がある。
老朽化の状況について
病院施設は平成17年に移転・改築しているが、改築後16年が経過しており、施設及び医療機器の老朽化が徐々に現れている。医療機械備品については、老朽化機器を随時更新していることから器械備品減価償却率が低くなってきているが、今後も更新が必要であるため、計画的に進めていく必要がある。有形固定資産が類似病院よりも高いのは、当初の病床数が305床であることから、現在の203床で比較すると、過剰となっているものである。施設設備についてもボイラーや配管など改修が必要な時期にきており、医療機器の更新と合わせて計画的に進めていくこととしている。
全体総括
地域医療を担う立場にあることから不採算部門を抱えているため、医療収益が低い病院ではあるが、診療内容の改善や患者確保により入院収益については増収が十分可能であると思われる。そのため、医療の質の向上による収益改善を図るとともに診療材料などの適切な使用など経費節減についても継続して実施していくことが重要である。平成28年度に策定した新公立病院改革プランの実行とともに経営体質の強化、改善に努めていく。また、移転・改築後16年が経過し施設や医療機器の老朽化が現れ、改修や更新等が必要な時期であるため、前述の経営強化に加え、企業債や補助金、市からの繰出金など必要な財源を確保できるように努める必要がある。