経営の健全性・効率性について
平成27年度の下水道事業の経営は、経常収支比率等の数値は概ね適正な水準となっており、引き続き健全経営が維持されていると言える。流動比率が適正水準と言われる100%を下回っているのは、平成26年度から適用された新地方公営企業会計基準により、1年以内に償還予定の企業債償還額が固定負債から流動負債に振り替えられたことによるもので、支払い能力はきちんと担保されている。その他、類似団体と比較しても、汚水処理原価は低く経費回収率は高いので、良好な状況といえる。また、企業債返済の負担割合も低い傾向にある。
老朽化の状況について
平成27年度の有形固定資産減価償却率は、前年度から1.44ポイント上昇し45.57%となっている。これは、全国平均や類似団体と比較して高い数値であり、法定耐用年数に近い資産が多いことを示している。資産のうち管渠に関しては、平成27年度においてはちょうど供用開始から50年が経ち耐用年数を超過するものが出始めたところであり、次第に老朽化率が上昇していくこととなる。今後は管内の老朽化調査を進め、その結果に応じて修繕か管更生か又は布設替えにより、順次改善していく予定である。
全体総括
下水道事業経営は現時点では健全な状態であると判断される。しかし、ここ数年は人口減少や節水型機器の普及により処理水量の逓減が進行しているため、今後の使用料収入の減少が懸念される。一方で老朽化が進む管渠の維持・更新にあたっては、年度毎の事業費の平準化を図りながら、適切な投資を行っていく必要がある。そのために、引き続き効率的な経営による費用の圧縮を心掛け、使用料収入と企業債の借入れとのバランスを取りながら、より一層健全な経営を目指していく。