経営の健全性・効率性について
平成26年度の下水道事業の経営は、経常収支比率等の数値は概ね適正な水準となっており、引き続き健全経営が維持されていると言える。流動比率が適正水準と言われる100%を下回っているのは、平成26年度から適用された新地方公営企業会計基準により、1年以内に償還予定の企業債償還額が固定負債から流動負債に振り替えられたことによるもので、支払い能力が急に悪化したということではない。類似団体と比較しても、汚水処理原価は低く、経費回収率は高く、企業債返済の負担割合も低い傾向にある。
老朽化の状況について
平成26年度の有形固定資産減価償却率は、前年度から24.26ポイント上昇し44.13%となっている。これは、新地方公営企業会計制度への移行で「みなし償却制度」が廃止されたことに伴い、減価償却累計額が急増したことによるものである。なお、類似団体と比較して割合が高いことから、当市では「みなし償却」を行っていた資産が多かったことが分かる。管渠に関して言えば、平成26年度においては未だ耐用年数を超過しているものはない。今後は平成27年度策定の「管路施設長寿命化計画」に基づき調査を行い、修繕・長寿命化・更新により対応していく予定である。
全体総括
下水道事業経営は現時点では健全な状態であると判断される。しかし、ここ数年は人口減少や節水型機器の普及により処理水量の逓減が進行しているため、今後の使用料収入の減少が懸念される。一方で老朽化が進む管渠の維持・更新にあたっては、年度毎の事業費の平準化を図りながら、上記の長寿命化計画に基づき適切な投資を行っていく必要がある。そのために、引き続き効率的な経営による費用の圧縮を心掛け、使用料収入と企業債の借入れとのバランスを取りながら、より一層健全な経営を目指していく考えである。