地域において担っている役割
地域の医療水準を守るため、常勤医不足が続く中でも総合病院的医療を提供するとともに、全診療科24時間、365日対応する救急医療や、子どもを安心して産んで育てる環境づくりのため周産期・小児医療を提供しています。災害拠点病院の指定を受け、必要時に適切な医療を提供できる体制を維持しています。研修医の教育や医学生の臨床実習の提供など、医療人育成の役割を担っています。新型コロナウイルス感染症重点医療機関として、専用病床の確保や感染症患者の受入れ、検査体制の整備や発熱外来の設置など、感染症対策に求められる役割を果たしています。
経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症専用病棟の設置とそれに伴う休床病床の発生により④は大きく悪化し、手術や健診の休止、受診控えなども相まって②も大きく悪化しています。一方で、空床補償や経営支援などの臨時的収入により①は100%を超えています。専門医不足により高度急性期医療が提供できず、⑤⑥は類似団体の平均を下回っていますが、提供する医療の質向上など、診療密度を上げることで上昇傾向にあります。医業収益の減少に伴い、⑦は上昇しています。⑧は価格交渉や後発薬品の採用率向上などにより、類似団体の平均を下回っています。
老朽化の状況について
平成13年度の病院建設から19年が経過し、老朽化が進んでいることもあり、①は類似団体の平均を上回っていおり、現在の施設・設備の長寿命化を基本とした、計画的な更新・修繕等が必要となっています。令和元年度に医療情報システムの更新、令和2年度は新型コロナウイルス感染症の検査・診断設備を整備し、有形固定資産(器械及び備品)が増加したことから②は減少し、類似団体の平均を下回っています。
全体総括
全国的な医師の地域偏在による医師不足や地域の少子高齢化・人口減少が進む中、当院においても常勤医不足が解消されず、積極的な医療人育成の取組を進めていても、今後も非常に厳しい経営状況が続くことが予想されます。また、出張医による診療体制の維持により、職員給与費対医業収益比率は類似団体と同水準であっても、出張医の委託費を加えると比率は70%を超えることから、適正な施設基準の取得など、収益の確保が必要となっています。コロナ禍により、医業収益の回復は見通せませんが、感染症への対応も含め、担っている役割を果たしていくとともに、地域に必要とされる医療の提供体制を守っていきます。