地域において担っている役割
北海道西胆振地域の公立病院として、急性期医療の提供を基本とし、がん医療や高頭部外傷を含む高エネルギー外傷に対応可能な医療体制を備えており、精神医療及び結核・感染症医療に対して一定の病床数を有するなど、地域において他医療機関には無い特色を有している。また、西胆振地域の「災害拠点病院」及び「北海道がん診療連携指定病院」に指定されており、地域の医療体制に関して様々な分野で他医療機関と連携・協力しながら、その中心的役割を担っている。
経営の健全性・効率性について
①経常収支比率(%)各年度において、100%を下回る赤字の状況が続き、健全な経営状態とはいえない。②医業収支比率(%)各年度において、100%を下回っており、当院の本業である医業活動の収益で医業費用を賄えておらず、類似団体平均値と比べ低い数値である。③累積欠損金比率(%)毎年度純損失を計上しており、累積欠損金が毎年度上昇しているため、類似団体平均値と比べ高い数値である。④病床利用率(%)各年度において、70%を上回っているものの、類似団体平均値と比べ低い数値である。⑤入院患者1人1日当たり収益(円)入院収益の減少等が影響しており、類似団体平均値と比べ低い数値であり、⑥外来患者1人1日当たり収益(円)前年度と比べほぼ横ばいであるが、類似団体平均値と比べ低い数値であり、年々差が広がっている。⑦職員給与費対医業収益比率(%)職員給与費の上昇等により当該値は上昇傾向にあり、類似団体平均値と比べ高い数値である。⑧材料費対医業収益比率(%)医療材料の経済的調達や不良・不動在庫の発生抑制、後発医薬品の普及等に努めており、類似団体平均値と比べ低い数値である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率(%)各年度において、類似団体平均値と比べ高い数値であるため、有形固形資産の経年による老朽化が進行していることを示している。②機械備品減価償却率(%)各年度において、類似団体平均値と比べ高い数値であるため、機械備品の経年による老朽化が進行していることを示している。③1床当たり有形固定資産(円)各年度において、類似団体平均値と比べ低い数値であることから、減価償却費が収益的支出を圧迫しておらず、過大な投資が実行されていないことを示している。
全体総括
当院の常勤医師は年々減少しており、診療科の縮小や地域の人口減少に伴う患者数の減少、診療収入の減少等により厳しい経営状況が続いており、経常収支比率・医業収益比率が100%を下回る状況からの脱却がなされていない。また、他会計からの繰入金収入を確保しながらも、各年度において純損失を計上しており、累積欠損金比率は上昇傾向にあり、類似団体平均値との比較において、年々差が広がっている。今後、常勤医師の確保について継続的に努め、地域の人口動向及び患者動向、地域医療に対する需要を的確に見極め、医療資源の活用による収益の確保及び費用の縮減を目指し、さらなる経営の健全化かつ効率化に取り組み、公立病院として地域に必要な医療を安定的かつ継続的に提供できるよう努めてまいりたい。