経営の健全性・効率性について
①④➄:収益的収支比率は70.37%で100%未満であるため、使用料収入や一般会計繰入金の収益で、維持管理費用や企業債償還金を賄えていない。汚水処理費のうち使用料で賄われている割合を表す経費回収率は50.65%で類似団体平均値と比較して低い。使用料収入に対する企業債残高の割合である企業債残高比率は907.42%で類似団体平均値と比較して高い。現在一般会計からの財源補てん(基準外繰入)や継続的に発行している資本費平準化債により、事業経営が維持している状況にあるため、下水道使用料の適正な水準を検討する必要がある。⑥:汚水処理原価は159.73円で、前年度より減少しているが、令和2年4月からの公営企業会計移行による、打ち切り決算の影響がある。その影響を加味し試算したところ177.05円で前年度より増加となる。費用の縮減に向けて、効率的・効果的な下水道の整備、維持管理の効率性向上を図り、事業経営の効率化、接続率向上による有収水量の増加への取り組みが重要である。⑦施設利用率は91.03%で、不明水量の増加により高い利用率となっていることから、不明水量の把握及び不明水の改善対策に努め、施設への負荷軽減に努める。⑧水洗化率は81.60%で増加傾向にあるが全国及び類似団体平均値より低い水準にあり、未接続世帯に対し、接続への理解を図る取り組みが重要である。引き続き、個別訪問や接続補助金及び融資あっせん制度の活用を推進し、水洗化率向上を図る。
老朽化の状況について
③管渠改善率昭和49年度に供用開始した石川処理区と昭和63年度に供用開始した具志川処理区に分かれている。石川処理区は供用開始から46年を経過し、今後、順次管路が法定耐用年数を迎え、老朽化が進行することが見込まれることから、計画的な更新、修繕に取り組む必要がある。そのため、下水道ストックマネジメント計画の取り組みを開始し、点検・調査(R2年~R3年度)を行い、修繕・更新計画(R4年度予定)を策定し、計画的な老朽管路の更新を図る。
全体総括
下水道普及率は66.85%で、汚水処理の概成に向けて沖縄汚水再生ちゅら水プランに基づく効率的効果的な整備方針のもと、未普及地域の計画的な下水道整備を進めるとともに、区域外は個人設置型浄化槽の整備を促進する必要がある。今後は、石川処理区の老朽化対策費の増加が見込まれる。単独処理で運営している石川処理区と沖縄県流域下水道との広域化・共同化作業を検討する必要がある。事業経営において、経常収支比率や経費回収率が類似団体平均値と比較して低く、一般会計から多額の基準外繰入金の補てんを受けている現状等を踏まえ、令和3年度において、下水道使用料のあり方や水準の検討に取り組む。また、引き続き接続率の向上を図り使用料収入の確保に努める。令和2年度より地方公営企業会計に移行する。健全経営を図るため、平成30年度に策定した経営戦略の進捗管理を行い、必要に応じて見直し(ローリング)を行う。