経営の状況について
本県の電気事業は、水力発電として大野川発電所外11発電所で最大出力70,280kWの発電を行ってきたが、平成30年4月から大野川発電所(出力10,100kW)がリニューアルに着手したことによって、30年度は同発電所を除く11発電所(最大出力60,180kW)が稼働している。また太陽光発電として平成25年7月から松岡太陽光発電所で最大出力1,362kWの発電を行っている。平成30年度は、供給原価の安い大野川発電所が停止していることから、収入が対前年度比9.4%減少し、総費用において同発電所関連施設の大規模修繕等を実施したことから、特別損失を除いた費用が対前年度比5.4%増加したことにより、経常収支比率及び営業収支比率が前年度に比べ減少しているが、引き続き100%以上は確保している。また供給原価は、料金単価の安い大野川発電所が停止していることから前年度に比べ高くなっているが、ほぼ全国平均と同額であり、引き続き安定した経営を営みつつ、低廉な電力を供給している。流動比率は、100%を超えており毎年十分な支払能力を有している。公営企業会計基準の見直しにより平成26年度決算からそれ以前は固定負債に仕訳されていた1年以内に償還予定の企業債や特別修繕引当金等の各引当金が流動負債へ仕訳されるように変更されたが、それでも十分な支払能力を有している。
経営のリスクについて
○水力発電設備利用率は、ほぼ全国平均と同率である。修繕費比率は、設備の経年劣化により全国平均より高くなっているが、保安規程により10~12年ごとに実施する発電所オーバーホール工事については、計画的に特別修繕引当金に引き当てを実施している。また、耐用年数を経過した設備は、その劣化度や費用対効果等を勘案して改良工事を実施することとしている。平成30年度は大野川リニューアル事業にあわせて関連設備を計画的に修繕したこと等により前年度より増加している。企業債残高対料金収入比率は、平成30年度において大野川発電所リニューアルの建設改良のため起債したことから増加している。当該企業債は大野川発電所が運転再開したのちのFITによる収入で償還する計画である。従来の事業分は計画的に企業債の償還を行っている。有形固定資産減価償却率は、固定資産の老朽化が進んでいることから全国平均に比べて高い比率となっているが、老朽化した発電所のリニューアル事業を計画的に実施していくこととしている。○太陽光発電設備利用率は、毎年同程度で推移している。修繕費比率は、本太陽光発電所は平成25年度に運転開始したばかりであり、大きな修繕は発生していない。企業債残高対料金収入比率は、建設に要する経費について企業債を活用せず、これまで水力発電で蓄積してきた資金を活用したことから0%である。有形固定資産減価償却率は、平成25年度に運転開始し減価償却が始まっていることから、計画どおりの推移となっている。FIT適用終了(R15)後の事業のあり方については、現時点で方針は定まっていないが、今後FIT終了による電力料収入の変動リスクも踏まえ検討していきたいと考えている。
全体総括
以上のことから、大分県電気事業は、安定した電力料収入に支えられ良好な経営を維持していること、短期・長期の財務の安定性が保たれていることなどから、経営成績、財務状態ともに概ね健全であると考えられる。今後は、平成29年度に策定した10年間の経営戦略やその実施計画である4年間のアクションプランに則り、老朽化・耐震化対策の推進による安全・安心の施設づくり、持続可能な安定した経営基盤の確立、県民福祉の向上、地域社会への貢献等を推進していく。