経営の健全性・効率性について
本町は、昭和54年に特定環境保全公共下水道事業として雨水排水整備に着手し、その後平成6年3月に汚水処理を開始、都市計画区域指定に伴い平成8年度から公共下水道事業として今日に至っています。①収益的収支比率:使用料収入は近年は増加傾向であり本来あるべき100%に近付きつつあります。今後企業債償還完了による支出減少や、企業誘致や世帯数増加による使用料の増加の期待はあるものの、設備修繕費等の維持管理費の増加が予想されます。④企業債残高対事業規模比率:類似団体平均値を上回りますが平成28年度末に約30億円あった企業債残高は令和2年度末に約25億円まで減少し、今後も減少を見込んでいます。⑤経費回収率:汚水処理費(雨水等の公費負担費を除く)を下水道使用料で賄うことができています。⑥汚水処理原価:下水道1立米当たりの汚水処理に要した費用であり類似団体平均値よりは安価ですが、維持管理費の増加により原価は増加傾向です。⑦施設利用率:類似団体平均値とほぼ同じ率で推移しています。今後も下水道区域の拡大と下水道接続の向上による利用率向上に努めます。⑧水洗化率:今後も下水道の接続推進を図ります。
老朽化の状況について
汚水処理に係る管渠や汚水処理施設(御船浄水センター・滝川中継ポンプ場)は、平成6年3月の供用開始から27年を経過し、施設や設備の老朽化が懸念されるところです。この状況を受け、本町では、下水道施設全体の中長期的な施設状態を予測しながら維持管理、改築を一体的に捉えて計画的・効率的に管理するための計画として「ストックマネジメント計画」を令和元年度に策定しています。下水道事業では、当計画に基づく点検・調査による状況の把握とあわせた予防保全型管理により、施設や設備の改築更新を計画的に行っています。「③管渠改善率」に示す管渠は、現在計画的に点検・調査等を行っておりますが、現時点で更新が必要なまで老朽化した管渠は把握していません。なお修繕が必要な管渠は随時修繕を行っています。
全体総括
本町では企業誘致や、宅地造成と集合住宅建設等による世帯数の増加等に伴う有収水量(下水道の使用量)の増加が期待されますが、将来的には人口減少等による有収水量の減少が懸念されます。そのため下水道事業では、有収水量の確保と維持管理に係る経費節減を継続的に行うとともに、将来的には使用料を見直す必要も考えられます。また本町では、地方公営企業法に基づく企業会計を令和6年度から適用する取り組みを進めています。企業会計の適用に向けた資産調査等により資産を明確化し、複式簿記により収支の状況を明らかにしたうえで(いわゆる下水道事業の「経営の見える化」)、現行の「御船町公共下水道経営戦略」を見直し、下水道の使用者に対して継続的・安定的な下水道サービスを提供できるよう努めてまいります。