経営の健全性・効率性について
平成27年度から地方公営企業会計に移行し6回目の決算となった今回は、経常収益が経常費用を上回ったため、①経常収支比率が100%を超え、単年度収支が初の黒字となりました。⑤経費回収率についても100%を超え、汚水処理費用を使用料収入で賄えている状況となりました。これらの主な要因は、令和元年9月分からの下水道使用料の値上げにより営業収益が増えたことによるものです。営業収益に対する累積欠損金の状況を表す②累積欠損金比率は、前年度の48.75%から120.83%増加し、169.58%となりました。これは熊本北部流域下水道への接続により廃止となった処理場解体に伴う特別損失(固定資産除却損)の発生によるものです。この特別損失は令和3年度においても発生する見込みです。累積欠損金を解消するためには当年度の欠損金を減らす若しくは発生させない必要があり、今後も建設費や維持管理費について、効率的、計画的に取り組むことによってコストを抑制していきます。④企業債残高対事業規模比率は、企業債残高の減により69.25%の減となり、類似団体平均値より低い状況となっています。⑦施設利用率は、平成28年度より単独公共下水道を流域下水道へ接続したため値なしとなっています。
老朽化の状況について
本市の公共下水道事業は、昭和56年の供用開始から40年が経過しようとしています。長寿命化計画やストックマネジメント計画に基づき、老朽化した管渠やマンホール蓋の取り替え、ポンプ場の電気設備・機械設備の改築・更新を行っています。施設の不具合による機能停止等を防ぐため、今後も計画等に基づき、国庫補助事業の採択を受けながら改築・更新を計画的に進めていきます。また、老朽化対策と合わせて、耐震化も進めていきます。
全体総括
認可区域の整備についてはほぼ完了し、維持管理及び改築更新が主な事業となっています。さらに老朽化対策としてストックマネジメント計画に基づき、更新事業を計画的に進めています。熊本北部流域下水道への接続により、廃止となった処理場の解体工事費用や国庫補助金返還等で令和2年度は負担が増加しました。令和3年度においても処理場の解体工事に伴う特別損失(固定資産除却損)が発生する見込みです。本市は今後数年は人口増が見込まれますが、いずれ人口が減少していくことが予想されるため将来を見据えた経営が必要と考えています。持続可能な下水道事業経営のため、「下水道事業経営戦略」に基づき、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を目指します。