経営の健全性・効率性について
本事業は、平成28年4月から公共下水道事業全体計画区域及び農業集落排水事業指定区域を除く区域に浄化槽を町が主体となって整備する事業いわゆる市町村設置型浄化槽事業を開始した。また、PFI事業として民間事業者の技術力、ノウハウ等を活用することにより、浄化槽の設置業務、設置された浄化槽及び寄附を受けた浄化槽の維持管理業務(汚泥清掃・収集運搬業務を除く。)を町の財政負担の軽減を図りながら効率的に実施している。①収益的収支比率について使用料収入は令和2年度の浄化槽設置及び寄附により管理基数が増え、使用者が増えた事により増加した。また、他会計繰入金の基準外繰入額の増加に伴い前年比より3.26%増加した。総収益の約55%が他会計繰入金で賄われており、経費回収率に大きな影響を及ぼし、使用料改定や経費削減等の経営改善に向けた取り組みが必要である。⑤経費回収率について令和2年度は、公営企業会計法適用委託で資産調査、評価を実施しているために、汚水処理費が増加している。下水道事業、農排事業と同一基準で使用料を算定している事が経費回収率が低い要因となっている。令和5年度までに公営企業会計の法適用化が完了する為、令和6年度以降は適正な料金収入、汚水処理費の削減を行い右上がりに推移していく。⑥汚水処理原価について浄化槽事業における汚水処理原価は、全国平均や類似団体の平均をみても高額となっている。本町において上水道が別団体での管理であり、年間有収水量の把握ができない為、使用人数に係数を掛けて算定している。下水道では平均0.29./人日ですが、浄化槽の場合0.2./人日で算定しているために、平均より高い状況となっている。今後下水道の平均値を採用することで、全国平均を下回る傾向となる。⑦施設使用率について処理水量についても上水道の使用水量が把握できない為に係数を掛けている。汚水処理原価と同様に係数を上げることで、全国平均を上回る傾向となる。⑧水洗化率について公共浄化槽エリアを令和2年度末に指定したことにより、非水洗化件数(汲取り等)を見直したことが下降した原因で、今後汲取りからの切替えが進むにつれて、100%に近づく。
老朽化の状況について
令和2年度おいて、新規設置58基、寄附採納17基で累計管理基数1,137基(設置545基、寄附採納592基)となった。浄化槽の耐用年数が30年~40年とされているが、寄附採納を受けた浄化槽については、設置後20年を超える浄化槽があり毎年数件の修繕が発生している。維持管理業者による点検や水質検査で、処理能力が低下しているものや経年劣化による補修等早期に修繕している。今後浄化槽のメーカや、設置年度、使用形態に合わせ、計画的に修繕を行い、単年度に修繕が集中しないように修繕費を一定化し、経営の安定化を図る事が必要である。
全体総括
浄化槽事業を開始したことにより、処理区域内人口も増加しているものの、建設費に対する起債償還が平成29年度より開始される。10年間の事業で、起債償還を元利均等を行っているために、令和8年度に償還額がピークを迎える事となる。起債償還の財源となる使用料や一般会計からの繰入金も多額になっていくことが想定されるために、収入源の確保が重要事項であるが、浄化槽の場合は管理基数の増が維持管理費の増につながる。令和5年度までに公営企業会計の適用を実施する予定であり、それにより使用者へ経営状況や適正な使用料を示す事ができ、使用料の改定に向けた取り組みを行っていく。