経営の健全性・効率性について
本事業は、平成28年4月から公共下水道事業全体計画区域及び農業集落排水事業指定区域を除く区域に浄化槽を町が主体となって整備する事業いわゆる市町村設置型浄化槽事業を開始した。また、PFI事業として民間事業者の技術力、ノウハウ等を活用することにより、浄化槽の設置業務、設置された浄化槽及び寄附を受けた浄化槽の維持管理業務(汚泥清掃・収集運搬業務を除く。)を町の財政負担の軽減を図りながら効率的に実施している。本年度の収益的収支は増加となったが、収入の6割が一般会計からの繰入金で賄われているために、経費回収率は平均以下の結果となった。下水道事業、農排事業と同一基準で使用料を算定している事が経費回収率が低い要因となっている。汚水処理原価については、水道料が別団体での管理であるために、年間有収水量が計量できない為に、使用人数に係数を掛けて算定している。下水道では平均0.28./合0.2./人日で算定しているために、平均より高い状況となっている。今後下水道の係数に合わせることで、平均に近づく。施設利用率が平均以下で、浄化槽の人槽算定基準が建物の床面積で処理能力が過大となっている。現在設置する場合は、人数による算定を行っているので、今後は平均に近づく事になる。経営の健全化に向けて、汚水処理単価を下げる為に、維持管理費の抑制や、使用料金の形態について見直す必要がある。
老朽化の状況について
令和元年度おいて、新規設置120基、寄附採納24基で累計管理基数1,062基(設置487基、寄附採納575基)となった。浄化槽の耐用年数が30年~40年とされているが、今後寄附採納を受けた浄化槽については、修繕等が発生する事が懸念され、財政計画に影響がでる事が想定される。浄化槽のメーカや、設置年度、使用形態に合わせ、計画的に修繕を行い、単年度に修繕が集中しないように修繕費を一定化し、経営の安定化を図る事が必要である。
全体総括
浄化槽事業を開始したことにより、処理区域内人口も増加しているものの、建設費に対する起債償還が平成29年度より開始される。10年間の事業で、起債償還を元利均等を行っているために、令和8年度に償還額がピークを迎える事となる。起債償還の財源となる使用料や一般会計からの繰入金も多額になっていくことが想定されるために、収入源の確保が重要事項であるが、浄化槽の場合は管理基数の増が維持管理費の増につながる。令和5年度までに公営企業会計の適用を実施する予定であり、それにより使用者へ経営状況や適正な使用料を示す事ができ、使用料の改定に向けた取り組みを行っていく。