経営の健全性・効率性について
本町の公共下水道事業は、平成25年度に全体計画の見直しをし、全体計画面積を320.5haとし令和7年度に整備を完了する計画である。令和元年度末において209.4haを整備しており、整備率は65.3%である。平成18年6月から供用開始しており、処理区域・処理人口が拡大している。水洗化率は横ばいとなったが、類似団体平均値を超える値となっている。施設利用率は類似団体平均値に及ばないものの流入量の増加とともに、年々上昇している。平成17年3月の市町村合併により特定環境保全公共下水道事業との2事業をおこなっており、分析上経費を案分している。経費回収率は、平成30年度は修正申告による返還金や、処理場増設があった為に横ばいとなっていたが、本年度は使用料金が増加したために増加となった。汚水処理費に占める維持管理費は使用料で補えているが、地方債償還費の不足分を一般会計より補っている状況である。管渠整備により供用開始地区が毎年増加し、下水道利用者が増え使用料も増加するが、建設工事が完了するまでは地方債の借入が続くために、経費回収率は現状維持が続いていく。更なる使用料増加の為に接続推進に努める要がある。収益的収支比率は、使用料収入は増加し、総支出は減少したものの、基準外繰入の減少に伴い減少した。汚水処理整備済み地区の未接続者対策や新たな整備地区の早期接続の啓発を行い、他会計繰入金に頼らない経営安定化に向けた収益の増加を図る必要がある。企業債残高対事業規模比率が増加している。これは、令和元年度に、処理場の増設工事を行った事により借入額が増加した事が要因である。令和元年度では、6系列と7系列の建物の工事を実施しており、令和2年度には6系列の電気設備工事、令和3年度には7系列の電気設備工事の詳細設計と続き、令和7年度までに8系列までの増設工事を予定しているために、今後比率の増加傾向が見込まれる。
老朽化の状況について
平成18年の供用開始から14年目であり老朽化対策については実施していないが、処理施設のポンプ等の機器については、定期的にオーバーホール等の修繕を行っている。今後はストックマネージメント計画(簡易版)に基づき管渠や処理場施設の機器類について、定期的な点検や調査を実施し、大規模な改修に陥らないように計画的な修繕を行っていき、安定した経営を継続していく。
全体総括
供用開始14年目を迎え処理区域・処理人口は年々拡大し収益も上がってきているものの、建設費に係る償還金も増大している。償還金の財源としては使用料のほか、交付税措置相当分の一般会計からの繰入金を充てているが、赤字補てんとしての繰入金の増加も想定される。経営の安定化には収入(使用料)の確保が重要事項であり、未接続者への加入啓発に努力する一方、料金改定を含めた収入確保及び効率的な支出に努める必要がある。また、使用料以外の収入として太陽光発電による収入があるが、その他の収入源について汚泥の活用等検討する必要がある。今後、令和5年度までに公営企業会計の適用を行う予定であり、適正な料金収入の実現に向けた取り組みを実施する。