地域において担っている役割
救急・小児に関わる医療のほか、生活習慣病への対応を積極的に行っている。特に糖尿病については、県内9ケ所ある糖尿病コーディネート事業の小城多久地区の拠点病院として、当院コーディネート看護師がかかりつけ医へのサポート・情報提供等を行い、重症化防止(透析予防)へ積極的に関与している。また医療安全網(MedicalSafetyNet)として、患者さんとその家族にとって、地域の病院の選択肢の保障が出来ることが当院に求められている。
経営の健全性・効率性について
COVID-19の流行により外来リハビリや健診を長期間停止とし、また陽性患者受入れのため、約半数の病床(45床)を空床としたことで患者数や病床利用率が落ち込み、医業収益は大きく減少した。(前年度比で入院患者数は26.2%、5,347人の減、外来患者数も23.2%、9,233人の減)。一方、病床確保等の補助金により経常損益は単年度黒字となったが、本来の儲けである医業収益が大きく落ち込んだ影響で、職員給与費等の実績は悪化している。8月に循環器医師1名が増員となったものの、消化器や外科系医師は引き続き不足しており、充足の見込みが無い状態である。
老朽化の状況について
病院本体が築37年経過しており、老朽化が著しく現在の医療ニーズに対応していない。現在、隣市の多久市立病院と統合し、新病院の設立準備を行っており、引き続き小規模修繕等での対応を行っていく。機器についても老朽化が著しく、機械備品減価償却率も他施設平均より高い水準にある。統合までの間、機器についても施設同様、更新機器については必要最低限に厳選し、その他の機器については修繕等で対応する予定であるが、統合病院での使用を想定した医療機器等の先行購入についても検討していく。
全体総括
建物の老朽化による不具合も頻発し修繕費等の増加が引き続き見込まれる。職員採用についても、退職者不補充等で採用抑制を行っているものの、全職員の平均年齢も増加し、今後も人件費を主とした固定経費は右肩上がりを続けると想定している。年間病床利用率の減少が続いているが、コロナ禍で陽性患者の受入れ病床確保の状況でもあり、大きく病床利用率が向上することは難しい。常勤医師の確保についても、不足する診療科での医師確保は難航しており、患者数増・病床利用率向上には限界もある。病院統合の準備を進めており、進捗状況によって必要に応じダウンサイジング(適正病床数・適正人員配置)等の検討を要する見込みである。