地域において担っている役割
救急・小児に関わる医療のほか、生活習慣病への対応を積極的に行っている。特に糖尿病については、県内9ケ所ある糖尿病コーディネート事業の小城多久地区の拠点病院として、当院コーディネート看護師がかかりつけ医へのサポート・情報提供等を行い、重症化防止(透析予防)へ積極的に関与している。また医療安全網(MedicalSafetyNet)として、患者さんとその家族にとって、地域の病院の選択肢の保障が出来ることが当院に求められている。
経営の健全性・効率性について
入院・外来共に患者数が減少した影響で収益が落ち込み、昨年度に引き続き赤字となっている。赤字の要因として医師不足が上げられ、医師退職等の影響で救急受入れ制限・診療枠の減少を余儀なくされ、患者数減の大きな要因となっている。現在のところ医師の増加見込みが無い状態である。医師の減少等に伴い、職員給与費も多少は減少したものの、医業収益の大幅な落込みが影響し、職員給与費対医業収益比率は増加傾向にある。
老朽化の状況について
病院本体が築36年経過しており、老朽化が著しく現在の医療ニーズに対応していない。その為、建て替えを含めた大規模投資の必要性は高い状況である。現在、隣市の多久市立病院と統合し、新病院を設立することで合意しており、当面は小規模修繕等での対応を行っていく。機器についても老朽化が著しく、機械備品減価償却率も他施設平均より高い水準にある。統合までの間、機器についても施設同様、更新機器については必要最低限に厳選し、その他の機器については修繕等で対応する予定である。
全体総括
建物の老朽化による不具合も頻発し修繕費等の増加が引き続き見込まれる。統合の道筋が見えている中、退職者不補充等で採用抑制を行っているものの、全職員の平均年齢も増加し、今後も人件費を主とした固定経費は右肩上がりを続けると想定している。年間病床利用率の減少が続いているが、繁忙期では84%近く病床を利用する時期もあり現段階での病床削減は困難である。常勤医師の確保がままならない状況下での患者数増・病床利用率向上には限界もあり、収益改善については現段階において未知数である。これからの病院統合の進捗状況によっては、ダウンサイジング(適正病床数・適正人員配置)等の検討を要する見込みである。