経営の健全性・効率性について
本市の個別排水処理事業は、令和元年度に公営企業法を全部適用し、今回が初めての決算となった。今年度は赤字決算となったが、経常収支比率が72%となっており、全国平均を大幅に下回っている。主な要因として企業債残高対事業規模比率が全国平均の約2倍となっており、企業債に係る支払利息が多額になっていることが考えられる。そのほか、汚泥処理原価も類似団体平均より割高となっており経営を圧迫している。汚水処理原価が割高になっている要因として市の個別排水処理事業は、農業集落排水事業で収入が見込めない地区を補完的に実施してるため、管理費用を削減するため民間に委託しているが、人口増による増収が見込めない中、民間委託に費用の削減の限界の状況にある。このため、水洗化率の向上を図るとともに、料金単価の見直しを検討するなど料金収入の確保に努めていく必要がある。
老朽化の状況について
供用開始から15年以上が経過し、施設が老朽化していることから、適切なメンテナンスを実施し長寿命化を図る必要がある。
全体総括
料金収入だけでは維持管理費等を賄いきれず一般会計からの繰入金に依存している。また、供用開始から15年以上経過したことで機器等の修繕費が増加していることに加え、設置世帯の5割程度が高齢者の独り暮らしである等、過疎化の影響を大きく受けているため、今後料金収入の減少が見込まれ厳しい経営状況になることが想定される。すでに収支改善のために経費節減などの取り組みを行っているところであるが、さらに維持管理費等の経常費用の削減に努めるとともに料金単価の見直しを検討するなど経営の健全化に努めていく必要がある。