経営の健全性・効率性について
経常収支比率及び料金回収率は、類似団体平均値よりも高く、その他の指標においても全国平均と比較し概ね良好な数値となっており、公営企業として妥当な経営状況となっている。企業債残高対給水収益比率が平成29年度より上昇しているが、浄水場更新工事の財源確保のために企業債を発行したことによるものである。できるだけ企業債に頼ることなく建設改良工事を実施するよう努めている。また、施設利用率は類似団体より低い数値となっているが、市内に産業団地等の開発計画(土地利用構想)があるため、今後、配水量の増加に伴い、施設利用率が向上することを見込んでいる。
老朽化の状況について
現在の水道施設は昭和40年~50年代に築造されたものがほとんどで老朽化が進んでいる。さらに、耐震化されていないため、安定した給水を行っていくために施設の更新が必要である。老朽化した水道施設の更新と耐震化及び非常時の対応強化等を図るため、平成25年度から15年を要する水道施設整備事業に取り組んでいる。なお、令和2年度に有形固定資産減価償却率が大きく下がった要因は、令和2年度に浄水場の更新工事が完了したためである。
全体総括
経営の健全性・効率性に表れているように、現時点は良好な経営状況となっているが、現在進めている水道施設整備事業は、財政の確保など水道事業の経営に大きな影響を与えるものと認識しており、特に財源については企業債が中心となることが想定されるため、今後の企業債利息及び減価償却費等の固定費の大幅な増加は避けられないと考えている。このような状況の中で、利用者の負担増とならないよう、水道料金を値上げすることなく現行の料金体系を維持することを前提として、水道施設整備事業を進めているところである。また、現在は人口が増加しているが、いずれ人口が減少していくことが予想されるため、将来を見据えた事業運営が必要と考えている。