経営の健全性・効率性について
①「経常収支比率」は、令和元年度は、平成30年度と比較すると、110.33%で0.65ポイント増加し、類似団体平均値を上回っており、100%を超えているため、健全な経営状況といえる。令和元年度に増加した主な要因としては、本市においても年々人口が減少する中、有収水量が前年度比0.06%の減となったが、令和元年9月使用分より料金改定を行ったため、収入源となる給水収益が3.5%増加したことによるものである。②「累積欠損金」については、過去5年間0%となっており未発生である。③「流動比率」は、平成30年度と比較すると45.06ポイント減少することとなった。これは企業債の単年度償還額が増加したことが要因となっている。令和4年度が単年度償還額のピークとなるため、引き続き、経営上必要な収益の増加に努めることが必要である。④「企業債残高対給水収益比率」については、類似団体平均値より高い数値を示している。これは、平成28年度まで上灘地区簡易水道統合整備事業を実施した際に企業債により資金調達を行ったことによるものである。平成29年度以降は、企業債の償還が進んでいるため、数値は減少傾向にあるが、今後施設等の耐震化事業を実施していくため、企業債残高の増加には注視する必要がある。しかしながら、償還以上に借入を行わないことを1つの目標として、事業を実施していくこととしているため、数値は減少にしていくものと思われる。⑥「給水原価」については、過去5年間145円~155円で推移しており、類似団体平均値より約20円程度低く、⑤「料金回収率」については、令和元年度が107.18%であり、給水に係る費用を給水収益で賄うことができている。以上の指標から本市の経営については、概ね健全経営が維持されている状況にあると考えられるが、今後の施設等の耐震化事業において企業債や補助金に依存することが考えられるため、更なる費用削減や更新投資等に充てる財源の確保に努めていく必要がある。次に⑦「施設利用率」については、令和元年度は62.23%で、類似団体平均値から見ても良好であると考えられる。さらに、⑧「有収率」については、平成29年度以降増加傾向にある。今後も、整備事業計画による管路の更新・漏水調査・修繕を強化する等の取り組みを進めなければならない。
老朽化の状況について
①「有形固定資産減価償却率」については、類似団体平均値を過去5年間下回っており、令和元年度においては、41.07%と平均値より7.1ポイント低い数値である。これは、上灘地区簡易水道統合を実施した影響があり、類似団体との比較においては、保有している資産が法定耐用年数に近づいている割合が低いと考えられるが、指標を参考に将来の施設の更新等の必要性と財源の確保に留意したい。③「管路更新率」については、令和元年度は、類似団体平均値を上回った。平成30年度以降②「管路経年化率」が上昇していることを踏まえ、有収率の向上を図るためにも、限られた財源で更新をし、耐震化の対応と併せ今後積極的な整備に取り組む計画である。
全体総括
本市の上水道事業における財政状況については、現在のところ健全経営を維持している。しかしながら、平成29年度に上灘地区簡易水道統合を実施し上水道に統合したことに加え、老朽化した既存施設の更新や耐震化事業等により、資本投資の増加が見込まれ、今後、人口減少に伴う水道利用収益の減少等により健全経営の継続ができないことが想定されるため、平成30年度に水道料金を改正し、令和元年9月より施行した。今後は、改定された給水収益の推移を注視するとともに、令和2年度からの簡易水道事業の法適用化や老朽化した既存施設の更新・耐震化事業等による資本投資の増加が見込まれるため、中期的な経営基本計画である「経営戦略」を令和2年度中に策定し、それに基づき計画的かつ合理的な経営を行うことにより、経営基盤の強化を図りたい。