経営の健全性・効率性について
本事業は、市内5施設を対象としており、収益的収支比率は100%に近いものの、経費回収率は、類似団体平均値よりも低い45.12%となっており、使用料で回収できない費用を一般会計からの繰入金で賄っている状況である。令和2年4月に料金改定を実施し、使用料は増加したものの、施設の老朽化に伴う修繕料等がそれを上回り増加したため、経費回収率は悪化する結果となった。今後は、令和6年度からの地方公営企業法適用に向け移行事務を適切に遂行するとともに、更なる経費削減による経営改善に向けた取組が必要である。企業債残高対事業規模比率については、地方債残高は、492,738千円であり、償還は全額一般会計負担となっている。償還は令和14年度まで続くため、しばらくはこの状態が継続すると見込まれる。使用料水準の適切性については、三豊市では農業集落排水事業と漁業集落排水事業を同一会計で経営しているため、漁業集落排水事業を含めて考えていく必要がある。汚水処理原価については、費用増加のため前年度より悪化する結果となった。また類似団体との比較においても大きく上回っていることから、維持管理費の削減、接続率向上による有収水量の増加を図り、適切な数値となるよう取り組む必要がある。
老朽化の状況について
施設は平成5年に供用開始を行った潟満地区を筆頭に平成15年に供用開始した大見地区まで5施設が稼働しているが、供用開始後17~27年を経過し、管渠及び施設・機器等の老朽化が進行している。今後は、各施設の機能診断調査実施及び最適整備構想の見直しを行い、国庫補助事業等を活用した計画的な長寿命化更新工事を実施して、更新費用の平準化を図っていく必要があると考える。
全体総括
令和2年度決算及び今後の見通しについて、費用面で経営に影響を与える要因は少ないものと考えるが、経営の健全性及び効率性のより一層の向上のため、施設利用率の更なる向上に努力し、機械設備の高機能化を図り、維持管理費の削減についても適宜行っていく。また、管渠及び施設の更新は機能強化事業等の補助制度を活用して、更新費用の平準化を図れるよう対応していく。また、前述のとおり令和6年度からの地方公営企業法適用に向け、滞りなく移行事務を実施し、その後の経営戦略の見直しを図る。それにより、今後の人口減少等を加味した料金改定の必要性を検討すること、また施設の老朽化を踏まえた更新費用の検証等を行うことで、本事業の経営を持続可能なものとしていく。