経営の健全性・効率性について
①経常収支比率と⑤料金回収率が2指標とも100%以上であることから、単年度の収支が黒字であり、かつ、給水に係る費用が給水収益で賄われていることを示している。また、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等が確保できていることから、③流動比率は100%を超えている。しかし、給水区域が山上に限定されるため、⑦施設利用率が類似団体平均値を下回っており、給水収益の増加が望めないため、今後も健全な経営を続けられるように、更なる費用削減に取り組んでいく必要がある。また、企業債の繰上償還により④企業債残高対給水収益比率は0%となっているが、②累積欠損金比率は、平成22年度末の473.68%から平成26年度末の254.17%まで約半分に減少しているものの、類似団体平均値を上回っているため、将来の見込みも踏まえた経営に取り組んでいく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体平均値よりも高い数値であり、保有資産が法定耐用年数に近づいていることを示している。管路については、法定耐用年数(40年)を超える塩化ビニル管(昭和41年布設)が2.9kmあり、総延長(7.6km)に占める②管路経年化率は37.87%と類似団体平均値を大きく上回っている。しかし、事業規模が小さく内部留保が十分に蓄積できないため、③管路更新率は0%とほとんど進んでいない。
全体総括
大幅な経営の合理化を図った結果、平成16年度以降経常収支比率が100%を超えるようになり、ピーク時(平成15年度末)に83百万円余あった累積欠損金が、平成26年度末時点で、35百万円余にまで減少し、比較的安定した経営状況で推移しているように見える。しかし、単年度の利益剰余金は、全て累積欠損金の穴埋めに使用しているため、内部留保の蓄積が十分にできない状況において、資金ショートを起こさずに老朽化した管路・施設の更新・耐震化を早急に進める必要がある。そのため平成27年9月策定した更新・耐震化計画により、南海トラフ地震に備えた応急給水拠点となる配水池の耐震化を平成30年度までに行い、塩化ビニル管の更新を平成29年度~36年度に行うこととし、健全経営を続けながら、着実に更新・耐震化を進めていく。