地域において担っている役割
周防大島町立大島病院は周防大島町西部地域の地域医療を担い、救急患者等時間外患者受け入れの役割も果たしている。病床は一般病棟39床と療養病棟60床を有し、平成30年7月には療養病床のうち21床を地域包括ケア病床に転換、従来の一部急性期から慢性期の入院医療に加え、回復期入院医療の提供も担うこととなった。また、他医療機関等の協力により特殊診療科の診療も行い、一定水準の医療を地域住民へ提供している。平成29年12月には透析部門について、周防大島町立東和病院との統合を当院へ集約する形で行い、合理化を図った。
経営の健全性・効率性について
令和2年度は新型コロナウイルス感染症の影響により外来患者数・外来収益が減少したものの、入院患者数の増加、地域包括ケア病床の利用率向上等による入院収益の増加により医業収支比率は令和元年度と同水準となった。また、経常収支は新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金交付もあり、前年度に続き黒字となり、累積欠損金が解消した。職員給与費対医業収益比率については、橘病院の有床診療所化等、事業再編による他施設の事業規模縮小に伴う人事異動で職員数が増加したことにより給与費が増加、数値が上昇した。
老朽化の状況について
平成22年度に病院を新築したため有形固定資産減価償却率は平均値を大きく下回っている。しかしその際更新整備した機器の減価償却が進展してきており、器械備品減価償却率は平均値を上回っている。設備投資については病院事業特別会計の経営状況に鑑みて抑制する方針であり、今後は更に老朽化が進んで行くことが考えられる。1床当たり有形固定資産は地域住民へ一定水準の医療を提供するためMRI等の高額な医療機器を整備しているほか、人工透析に要する機器整備も行っていることから、平均値を上回っていると考える。今後の設備投資については地域の医療需給情報等の分析を行うなどし、過大な投資とならないよう留意する。
全体総括
周防大島町立大島病院は東西に広い周防大島町の西部地区において地域医療の確保に欠かすことのとできない病院である。近年周防大島町の人口が徐々に減少していく状況の中、患者数は減少傾向にあるが令和元年12月地域包括ケア病床の入院管理料類上げ、眼科外来の手術件数増加などにより医業収益は増加した。令和2年度は新型コロナウイルス感染症対策関連の補助金交付もあり、令和元年度に続き経常収支は黒字となり、累積欠損金を解消した。今後は令和元年度に策定した周防大島町病院事業局再編計画に基づき収益の増加、費用の圧縮に努め、経常収支黒字を継続し、病院事業局全体での累積欠損金解消を目指す。