地域において担っている役割
周防大島町立東和病院は周防大島町東部の地域医療を担い、救急患者等の時間外患者受け入れの役割も果たしている。近隣の総合病院へは車で50分かかる立地条件にあって、他医療機関等の協力などにより特殊診療科の診療も行い、一定水準の医療を地域住民へ提供している。一般病棟の一部病床を地域包括ケア病床へ転換しており、主に慢性期~回復期の入院医療を提供している。平成29年12月透析部門を周防大島町立大島病院へ集約する形で統合し、町立病院間での合理化を図った。
経営の健全性・効率性について
長期入院患者の増加、外来患者数減少、透析部門統合により収益が伸び悩む中、給与費の増加等により、経常収支比率・医業収支比率とも類似病院平均値を下回っており、累積欠損金比率が上昇傾向にある。病床利用率は、平成28年度に西棟改修に伴い低下していたが、平成29年6月末の西棟改修終了後は徐々に患者数が増加し、改修時11床を減床したこともあり上昇した。外来患者1人1日当たり収益は平均値を上回っている一方、入院患者1人1日当たり収益は、長期入院患者の割合が高いことと、手術件数が少ないことから平均値を下回っている。材料費対医業収益比率については、入院期間が90日を超える患者について包括診療としていることが平均値を上回る原因と考える。
老朽化の状況について
平成25年の東棟改築工事(耐震)、平成28年度~平成29年度の西棟改修工事により建物については当面老朽化の心配は無い。また、機械備品についても東棟改築工事、西棟改修工事に伴い更新も同時に行ったため、こちらも著しい老朽化の恐れはない。しかし、現在の経営状況に鑑みて設備投資の抑制を行う方針であり、現在保有する機械備品については保守点検を十分に行い、安全性を確保しつつ耐用年数を超えて使用することとしているため、今後は老朽化が進展することが考えられる。1床当たり有形固定資産については地域住民への一定水準の医療提供のため、MRI等の高額な医療機器を整備していることと、建物の改築・改修により高い比率となっているが、今後の施設・機器整備に際しては過大な投資とならないよう地域の医療需給等情報の分析をし、行っていく。
全体総括
周防大島町立東和病院は東西に広い周防大島町の東部地区において地域医療の確保に欠かすことのできない病院である。近年は周防大島町の人口が徐々に減少していく状況の中、外来患者の減少、透析部門統合等により収益が伸び悩み、給与費増加等による費用の増加もあり経営状況は厳しさを増してきている。平成25年度の東棟改築工事、平成28年度起工の西棟改修工事等によりハード面については充実してきている。特に西棟改修工事の際手術室の改修も行っており、今後は整形外科・外科領域の手術件数を増加させるなどハードを有効に活用し、増収を図る。また、周辺の医療機関、施設等との連携を緊密にすることによって外来患者の確保、病床利用率の向上を目指す。