経営の健全性・効率性について
収益的収支比率は、企業債元金償還金の増加のため減少傾向で推移しており、今後も毎年度新規整備(5~10基程度)を予定しているため、当面数値は減少することが見込まれる。一方、経費回収率は、前年度と比較して上昇し、汚水処理原価は、前年度と比較して減少しているが、これは、平成28年度から分流式下水道に係る一般会計からの繰出金の算出基準が変更され、汚水処理費に対する公費負担額が増となったことによるものである。しかしながら、いずれの数値も、類似団体の水準に達していない状況であり、今後も継続的に経費節減に取り組み、また必要に応じて使用料の見直しを検討する必要がある。企業債残高対事業規模比率は、前年度と比較して大幅に低下しているが、これは、上記分流式下水道に係る繰出金の算出基準変更に伴い、企業債残高に対しての一般会計負担額が増となったことによるものである。施設利用率と水洗化率は、全国平均及び類似団体を上回り概ね良好な状態と言える。
老朽化の状況について
本事業は平成13年度から開始され、施設(合併浄化槽)及び管渠等は比較的新しく、当面、改築更新は予定していない。いずれは、老朽化への対応が必要となるが、その際には計画的、効率的に更新投資を行う必要がある。
全体総括
本事業は、河川等の水質保全の必要性が高い地域において実施される事業であり、事業の性質上処理区域内人口は少なく、使用料収入は限定的であり、毎年度収入不足が生じているが、公共的利益という観点から、不足分を一般会計からの繰入金で補い事業運営を維持している。こうした状況の中、本事業においては、平成31年4月から地方公営企業法の財務規定の適用を予定しており、あわせて経営戦略を策定し、維持管理費費の削減及び施設整備の促進による料金収入の増などの経営状況の改善に向けた取り組みをさらに加速させる必要がある。