地域において担っている役割
当院は、中山間地域に位置し、岩国市美和地域唯一の病院である。救急医療から在宅医療に至るまで、地域医療の砦として重要な役割を果たしている。在宅医療サービスに重点を置きながら、岩国市立錦中央病院と連携した医療を提供し、市民が等しく適切な医療が受けられるよう、へき地医療提供体制の堅持に努めることとしている。
経営の健全性・効率性について
令和3年度は、前年度と比較して入院患者数が3,601人減(46.7%減)と大幅に減少した。減少した主な要因としては、一時期全床を新型コロナウイルス感染症入院確保病床へ転換したためである。それに伴いコロナ関連補助金が増加し、経常収支比率が増加した。また、入院患者数の減少に伴い、入院収益が減少し、医業収支比率は減少した。支出面については、前年度に引続き、錦中央病院と医薬品の共同購入を実施し経費節減に努めた。
老朽化の状況について
施設の本体は、昭和56年の建築基準法改正以前の昭和47年に建設されたもので、有形固定資産減価償却率が高くなっている。耐震診断の結果、「想定する地震動に対して、所要の耐震性に疑問あり」との判定が出たことや、施設の老朽化や狭隘化、医療機能上の施設改善等の問題点が指摘されていることから、「岩国市美和病院あり方検討会」において移転新築の方向で検討を進め、平成31年3月に「新病院基本構想」を策定した。令和4年度で実施設計が完了し、令和5年度に建築工事を開始し、令和6年度に新病院の開院を予定している。
全体総括
当院の診療圏である美和町及び近隣の本郷町、美川町の人口が減少してきており、それに伴い今後は入院・外来患者数の減少が予想され、経営的に厳しい状況になると考えられる。しかしながら、当院は市民の健康維持のため、なくてはならない病院であり、最近では新型コロナウイルス感染症患者の入院を受入れた。病院経営を持続させるために、材料費の購入方法など費用面について改善できるところは改善しつつ、移転新築後の医療機能や機能等について検討を進める。