経営の健全性・効率性について
①経常収支比率(%)100%以上ではあるが、維持費や修繕費などの経費が年々嵩んでおり比率が減少傾向にある。③流動比率(%)類似団体と比較すると下回っているが、300%前後を保っているため、支払能力に問題はない。④企業債残高対給水収益比率(%)給水収益は減少傾向にあり、水道施設の老朽化による更新事業費が嵩み、それに伴い企業債も増加傾向にある。計画的に施設の更新を遂行し、財源の確保のために国及び一般会計からの補助金の活用や料金改定も視野に入れていく必要がある。⑤料金回収率(%)給水収益の減少と減価償却費や支払利息等の経費増により100%を切っている状況である。全国平均値との差も広がっており、早急に取り組むべき課題となっている。⑥給水原価(円)施設の更新をしたことによる減価償却費の増加などにより年々費用は増加傾向にある。⑧有収率(%)全国平均以上の有収率となってはいるが、配水施設の老朽化による漏水が多発しており有収率は下降傾向である。定期的な巡視や漏水調査及び老朽管更新などを実施し有収率をできるだけ高く保つように努力している。
老朽化の状況について
減価償却率については、由宇地区給水事業等の大規模な資産が計上されたため一旦は低下した。現在の老朽管路状況は、管路総延長が910kmほどに対し、法定耐用年数を経過した管路延長は370kmに及ぶ。簡易水道統合(平成28年度に完了)により管路総延長が増加したため、管路更新率が低下した。老朽管の更新は、法定耐用年数を超過し、重要度・緊急度を考慮した更新計画に基づいて実施しているが、依然として管路更新率は低い状況であり、目標耐用年数を見直しすることで合理的な更新計画を策定していく。施設に関しては、統合した旧簡易水道施設の更新などの経費増が見込まれる。また、基幹施設である錦見浄水場の耐震化計画に基づき、現在取水施設の耐震化工事を行っている。
全体総括
岩国市の水道事業を取り巻く情勢は、高度成長時代に大量に建設された上水道施設の更新や、平成28年度に統合を完了した旧簡易水道(中山間地域に小規模な15水源、12浄水場、22配水池が広範囲に点在する)の老朽化した施設の維持管理や更新などもあり、費用が嵩む中で、人口減少や近年のコロナウィルス感染症により給水収益が更に落ち込み財政を圧迫している。「水道施設耐震化10ヵ年計画」から経営戦略を策定したが、収支均衡を保つための財源の確保が厳しくなっており、根本的な見直しが急務である。今後、長寿命化や適切な料金水準等を見据えて各既存目標値を再設定しながら補完したもので運用し、持続可能な安定経営に努め世代間負担の偏りが生じないことは勿論のこと、安全で安心して飲める水道水を安定的に供給し、災害に備えた防災拠点として機能強化を図っていく構えである。