収益等の状況について
7月豪雨災害の影響を受けた前年度に比べ、年間の収支は大きく改善した。昨年度末に策定した中長期計画に沿った、各種アクションプランの実行が功を奏し、特に費用面において効果がよく表れ、①収益的収支比率は、平成29年度の水準に戻りつつある。⑤売上高人件費比率、⑥売上高GOP比率、⑦EBITDAについても①収益的収支比率同様、アクションプランの効果により改善しており、今後も取組みを継続することで、更なる収支改善を図る。しかしながら、2月以降、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、利用者が減少したため、計画に基づく収支額の達成は困難となった。令和2年度においても、コロナ禍の中、経営が見通せない状況にあり、経営への影響を最小限にとどめるため、通常の運営とは別に必要な対策を講じていく。
資産等の状況について
当該施設は平成28年8月に建替工事が完成し、同年11月に営業を開始している。⑨は統一的基準による貸借対照表の建物から減価償却累計額を差し引いた額である。今後毎年およそ70,800千円ずつ減価償却を行っていくこととなる。⑩設備投資見込額は、建替から10年後の大規模修繕費用として10,000千円(見込)を計上したものであり、当面設備投資は不要である。⑫企業債残高対料金収入比率については、今後地方債の元金償還をしていくにしたがって徐々に改善される見込みである。
利用の状況について
宿泊客数動向における公営企業の数値は、前年度に比べやや増加しているのに対し、市町村の数値は横ばいであることから、当該施設の宿泊需要は高いものといえる。本市において当該施設は、観光利用の受け皿が必ずしも十分と言えない状況の中、観光振興を図る上で重要かつ必要な施設であるため、今後も引き続き利用者数の増加に努めていく。
全体総括
当該施設は、本市の観光拠点施設として観光振興及び雇用も含めた市内経済への波及効果による地域活性化に寄与するとともに、市民の健康増進を図る施設として一部公共的な役割を果たしている。しかしながら、施設建替のため借り入れた地方債の残高は、今年度末現在およそ20億円であり、当該施設から得られる収益によってその償還財源を確保していかなくてはならないと考えている。前年度に比べ収支が改善したとはいえ、まだまだ償還財源を賄えるにはほど遠く、更なる収支改善に向けた取組を行っていく必要がある。また、通常の施設運営とは別に、新型コロナウイルスの今後の経営への影響も無視できない。施設としてはまだ真新しく、高い収益性を有していることから、その強みを生かした運営を行っていく。