経営の健全性・効率性について
①収益的収支比率は100%を大幅に下回っており、単年度収支は赤字である。総費用は昨年度より減少しているものの高額で推移している。また補助金及び繰入金が総費用の減少より更に減っており、それに伴い収支比率が悪化している。経営継続のために繰入金に頼らざるを得ず、単年度収支赤字縮減に向けて経営改善に取り組んでいくことが必要である。④企業債残高対事業規模比率のH29当該値は4,844.38%となっているが、正しくは0.00%である。当該比率については、企業債現在高とともに順調に減少し平成27年度に皆減となっている。これは、一般会計の負担により賄われているためであり一概に良いとは言えない状況である。⑤経費回収率は100%を大きく下回っており、単独での経営はできているとは言えない状況となっている。今後、使用料収入の見直しや汚水処理に係る費用の削減など、単独経営に近づくよう取組みを進めていく。⑥汚水処理原価は、類似団体平均よりも高い数値で推移しており、他団体と比較すると費用の効率性の面では改善すべき点があると考える。今後、経年による施設の老朽化が想定される中、健全経営を図っていくための対策を検討していく必要がある。⑦施設利用率は50%台をほぼ横ばいで推移している。前年度に比べ若干の改善がみられるものの、さらに改善していく必要があると考えられる。⑧水洗化率は90%台であるが、年々下降傾向にある。今後、水洗化率100%達成に向け、取り組みを強化していく必要がある。
老朽化の状況について
③現状では法定耐用年数を超える管路は出ていないが、施設の老朽化が進むにつれ更新に向けた対策も必要となってくることから、適正な時期に適正な管路更新ができるように、計画的な資産管理を行う。
全体総括
本町の農業集落排水事業は単年度収支が赤字であることや経費回収率が極めて低いこと、汚水処理原価の数値を類似団体平均と比較して高いことを踏まえると、全体的な経営状況については健全とは言えない状況となっている。平成28年度策定の経営戦略に基づき、今後は、経営状況や固定資産などの状況把握、必要に応じた施設の整備更新、適切な資金管理など、経営改善及び適切な運営管理に向けた取組みを進めていく必要がある。また、人口密度が他の事業と比較して大きい理由は、農業集落排水区域は既にほ場整備が終了しており、今後、農地を宅地化する可能性が低いことから、管路沿いの面積を処理区域面積としていることによる。