地域において担っている役割
町内唯一の救急告示病院として町内救急搬送の90%以上を受け入れており,町民の安心・安全な医療環境に大きな役割を果たしている。また、眼科・耳鼻科・婦人科等に加え,本年度から精神科の開設や泌尿器科の正式標榜を行うなど地域のニーズに応じた医療の他,CT・MRI等の高度医療機器を使った高度・先進医療の提供も行っている。さらに地域包括ケアシステムの構築については,町行政と連携した支援会議を定期的に行うなどの努力を行っている。加えて,本年度末頃から問題化した新型コロナウイルス感染症への対応として,発熱外来による検査体制等を敷いている。
経営の健全性・効率性について
経常収支比率・医業収支比率とも類似病院との比較では高い水準ではあるが,職員給与費対医業収益比率においては上昇傾向にあるため,収益に見合った給与費構成を検討したい。1人1日当たり収益においては,入院・外来とも類似病院を下回る水準となっており,改善が可能かどうかを分析する必要がある。
老朽化の状況について
建物については平成17年度に大規模改築・改修工事を行っており比較的新しい状況であるが,建物内部の設備や器械備品については老朽化が進んできているため,今後計画的な更新が必要である。本年度においてはCTやPACS(医用画像管理システム等の更新を行った。令和2年度は電子カルテシステムやX線一般撮影装置,手術室滅菌器などの更新を予定している。
全体総括
本年度については,医業収益自体は前年度比増となったものの,消費税率改定や働き方改革の推進に伴う職員補充等の影響で費用が増加した結果,経常収支比率・医業収支比率とも減となった。病床利用率は高水準を維持しており,地域での必要度は高いといえるが,今後の経営安定化のためには紹介患者の増など入院・外来ともに安定した患者数を確保していくとともに,給与費などを中心に費用の適正化を図り,医業収支比率の改善と累積欠損金の解消を目指す必要がある。町内唯一の公立病院として,今後も救急医療・不採算部門への取組を継続するとともに,町内医療機関や近隣の急性期病院との連携を図り,地域の中核病院としての役割を担っていく。