経営の状況について
経常収支比率及び営業収支比率については、ともに100%を超えており、料金収入以外の収入に依存することなく黒字経営を維持できている。【経常収支比率21.4%減】【営業収支比率23.3%減】平成29年度は降水量に恵まれた昨年に比べ、平年の降水量を大きく下回る月が多かったことや、苫田発電所の補修工事による運転休止により、供給電力量が減少したため両比率とも低下しているが、依然全国平均と同程度の比率は維持しており、健全な状態と考えている。短期的な支払い能力については、流動比率が100%を超えているものの、全国平均を下回っているが、これは比較的新しい発電所が多く、流動負債に計上される企業債の償還額が大きいことが要因と考えられ、今後改善していくものと考えている。【流動比率114.5%増】平成29年度は昨年と比較して流動負債に計上される未払金が大幅に減少したため、例年並みに回復した。供給原価については、全国平均と比較して高コストとなっている。【供給原価1,436.3円増】平成29年度は昨年度に比べて、大規模修繕等による費用の増加に加えて、天候や発電所の運転休止により供給電力量が減少したため、高コストとなっている。特別修繕引当金の活用により修繕費の平準化を図っているが、降水量の低下と運転休止が重なったこともあり、一時的に高コストとなったものと考えている。EBITDA(減価償却前営業利益)については、年々上昇傾向にあったが、平成29年度については大幅に減少している。【EBITDA314,788千円減】平成29年度については、降水量の低下や運転休止等の影響により純利益が大幅に減少したため、一時的に減少したものであり、施設自体の収益性が低下しているものとは考えていない。
経営のリスクについて
設備利用率については、天候に左右される部分が大きいものの、水力・太陽光をあわせた施設全体では全国平均を上回っており、かつ資源エネルギー庁が示す、一般的な設備利用率(一般水力45%、太陽光14%)と同程度であり、概ね良好な状態である。【設備利用率4.8%減(施設全体)】修繕費比率については、若干の経年増減はあるものの、概ね全国平均水準にあり、定期的なオーバーホール等の大規模修繕については特別修繕引当金により費用の平準化を図っている。なお、太陽光発電については施設も比較的新しく、これまで最低限の修繕費しか要していなかったが、平成29年度は4年に1回の監視制御装置の細密点検を行ったため、上昇している。【修繕費比率3.0%増(施設全体)】企業債残高対料金収入比率については、水力発電では比較的新しい施設が多く、全国平均を上回っているものの新たな借入は行っておらず、減少傾向にあり、当面は改善していくものと考えている。太陽光発電については施設設置当初の借入以降新たな借入は行っておらず、また新規の設置も計画していないことから、引き続き減少していくものと考えている。【企業債残高対料金収入比率4.7%減(施設全体)】有形固定資産減価償却率については、水力・太陽光ともに年々上昇し、全国平均水準に近づいている。今後も計画的な整備により、安定供給の確保に努める。【有形固定資産減価償却率0.9%増(施設全体)】FIT収入割合については、他団体と比較して高い状況にあり、買取期間終了による収入の減少を考慮し、既存施設の発電効率を高めるための改良工事を計画的に実施していく。なお、太陽光については、100%となっており、買取期間終了後の処遇について検討する必要がある。【FIT収入割合3.9%減(施設全体)】
全体総括
営業開始以来、常に経営の合理化を図るとともに、適正な料金の確保、設備の効率的な運用等に努め、安定した経営を継続している。平成30年度には現状分析や将来見通しを踏まえた経営戦略を策定(平成31年1月策定)し、電気事業を取り巻く環境の変化に対応しながら、引き続き安定した経営が可能となるよう努めてまいりたい。