西ノ島町
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32:島根県
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西ノ島町
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2011年度
2010年度
人口の推移
財政比較分析表(2020年度)
財政力
財政力指数の分析欄
本土から約65㎞離れた離島にある本町は、漁業、畜産、観光等が基幹産業だが、地理的要件等から大きな企業がなく、また、人口の減少や、少子高齢化の進展により、自主財源が乏しく財政基盤が弱い。そのため、財政力指数は、類似団体平均値を下回り0.11となっています。漁業や畜産をはじめとした産業振興に対する支援制度の拡充や、航路運賃の助成・イベント等による交流の促進、子育て環境の充実等により、人口増加・地域活性化を図り、自主財源の確保に取り組んでいます。また、自主財源が乏しい財政構造が大きく変わることは見込めないことから、歳出の削減に努め、財政の健全化を図っています。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
歳入では、前年度と比較し地方税(町民税、固定資産税、軽自動車税)はほぼ横ばいとなり、普通交付税は大きく増加しました。歳出では、人件費(経常一般財源分)は増加しましたが、補助費等(隠岐広域連合負担金)、公債費が大きく減少したため歳出全体では減少となりました。歳入の増加と歳出の減少がともに多く、特に普通交付税の増加と補助費等の減少が影響し、比率は前年度から7.3ポイントと大きく改善しました。類似団体平均値を1.8ポイント上回っており改善が必要ですが、大型事業の元金償還が終わる令和11年度まで数値が高いままであることが見込まれています。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
離島という地理的条件から、社会福祉施設・環境衛生施設等の広域的な取り組みが難しく管理運営にかかるコストが高くなります。令和2年度は人件費が増加しましたが、物件費、維持補修費の減少が大きく、人口1人当たり人件費・物件費決算額は減少しました。人件費の増加は、会計年度任用職員制度開始に伴う期末手当等の増によるものです。類似団体平均値を1,869円上回っており、引き続き改善を行っていく必要があると言えます。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
平成24年度に国家公務員が給与削減措置を行っていた際は、指数が100を超えていましたが、その措置が終了したことにより数値は100を下回る状況が続いています。引き続き職員給与の適正化に努めてまいります。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
前年度と比較し0.65人減少しましたが、類似団体の平均値と比較し1.31人多い数値となりました。離島である本町の特性から、診療所や保育所をはじめ幅広い公共サービスを行政が行う必要があります。今後も指定管理者制度等の活用により定員管理の適正化を図ります。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
類似団体と比較し依然として高い水準にありますが、令和元年度に過疎債の繰上償還を行ったことや、普通交付税の増加によって比率は前年度比0.1ポイント改善しました。学校建設事業やごみ処理施設等の元金償還により悪化することが見込まれているため、繰上償還による対応や交付税算入の有利な地方債の活用、適切な事業執行に引き続き努めてまいります。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
近年の大型事業の実施に伴い地方債残高が急激に上昇しており平成29年度まで悪化し続けていたため、令和元年度に過疎債の繰上償還を行い一時的に改善しましたが、令和2年度は庁舎建設事業の地方債借入を行ったため20.0ポイント悪化しました。今後は庁舎建設事業と同程度の規模となる大型事業を行う予定は無いため、将来負担額は減少していくものと考えられます。類似団体内順位でも非常に高い水準にあり、引き続き改善に向け取り組みます。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2020年度)
人件費
人件費の分析欄
令和元年度と比較し、比率は0.7ポイント減少しましたが、特定財源の伸びによるものであり経常的な人件費全体は伸びています。しかし、行財政改革により施設等の外部委託(ごみ処理施設・し尿処理施設等)を進めたことによる職員数の減、また、職員構成の若返りにより、依然として人件費は抑制されており、類似団体平均値を下回っております。
物件費
物件費の分析欄
物件費は概ね類似団体平均値と近い値で推移しており前年度比で0.8ポイント減となりました。物件費の額自体の減少や普通交付税の伸びなどを要因とし物件費の経常収支比率は改善しました。今後も引き続き歳出削減に努めてまいります。
扶助費
扶助費の分析欄
生活保護費・児童扶養手当等の減少により前年度と比較し0.4ポイント改善しました。扶助費は、義務的経費であるため歳出の抑制は難しいですが、対象世帯への健康指導等により扶助の軽減を図り、適切な支給に取組みます。
その他
その他の分析欄
類似団体平均値を下回っているものの、簡易水道及び下水道の管路更新等に伴う繰出金が、今後増加することが予想されるため、維持管理費の低減や下水道への加入を促進し、繰出金の抑制に努めてまいります。
補助費等
補助費等の分析欄
離島航路・消防・病院業務等を行う一部事務組合への負担金の割合が多く、当該業務は、離島である本町において、行政が行わざるを得ない公共サービスであり、類似団体平均値を上回る要因となってます。平成28年度から、単独事業として開始した離島航路運賃低廉化事業等により大きく伸び、平成29年度からは特定有人国境離島地域社会維持推進交付金関連事業により上記に加え、輸送コスト支援、雇用拡充、滞在型観光促進などが追加されています。令和2年度は前年度に大きく伸びた隠岐広域連合(隠岐島前病院分)の負担金が大きく減少したため、前年度と比較し3.3ポイント改善しています。
公債費
公債費の分析欄
繰上償還等により公債費の改善に取組んでいますが、依然として類似団体平均値を上回っています。令和元年度に過疎債の繰上償還を行ったことにより2.0ポイント減少しましたが、学校建設事業やごみ処理施設整備事業といった大型事業の元金償還による公債費の増加が見込まれているため、繰上償還や計画的な事業実施、交付税参入に有利な地方債の活用に努めてまります。
公債費以外
公債費以外の分析欄
公債費以外は類似団体平均値を下回る数値となっていますが、大型建設事業の完了により、今後は公債費が増加することが見込まれます。公債費以外についても、物件費等をはじめ、更なる歳出削減に努めます。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)
議会費
労働費
消防費
諸支出金
総務費
農林水産業費
教育費
前年度繰上充用金
民生費
商工費
災害復旧費
衛生費
土木費
公債費
目的別歳出の分析欄
議会費、民生費、衛生費、農林水産業費、商工費、土木費、消防費、教育費は、概ね類似団平均値と近い値で推移しています。類似団体平均値と比較し高いものは、総務費となっています。総務費では、平成29年度から開始している航路運賃低廉化事業に加え、庁舎建設事業や体験型施設整備事業といった普通建設事業の増、特別定額給付金給付等の新型コロナウイルス感染症対応に係る事業により大きく増加しました。公債費については、普通建設事業実施にあたり起債を活用しているため、類似団体に比べ高い水準となっています。特に令和元年度は学校建設事業の元金償還開始や過疎債の繰上償還を行ったため急激に増加しました。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2020年度)
人件費
補助費等
災害復旧事業費
投資及び出資金
物件費
普通建設事業費
失業対策事業費
貸付金
維持補修費
普通建設事業費(うち新規整備)
公債費
繰出金
普通建設事業費(うち更新整備)
積立金
前年度繰上充用金
性質別歳出の分析欄
人件費については、会計年度任用職員制度開始により大きく伸びています。物件費については、平成30年度より新規施設(ごみ処理施設、コミュニティ図書館)の管理運営経費が増加したため、類似団体平均値と比較しても9.7%高い状況となっています。維持補修費については、平成30年度に新ごみ処理施設が稼働開始したため、旧施設にかかっていた維持補修費が減少したことなどにより類似団体平均値と比較し29.6%程度と低い数値となっています。補助費等については、離島航路・消防・病院業務等を行う一部事務組合への負担金の割合が多く、当該業務は、離島である本町において、行政が行わざるを得ない公共サービスであり、類似団体平均値を上回る値で推移しています。また平成29年度から特定有人国境離島地域社会維持推進交付金関係事業が増加したため大きく伸びています。令和2年度は新型コロナウイルス感染症に係るものが増加の要因となっており、なかでも特別定額給付金給付により大きく増加しています。普通建設事業は、平成29年度にごみ処理施設整備、コミュニティ図書館建設など新規施設整備があり非常に大きい数値となっており、令和元年度まで徐々に減少していましたが、令和2年度は庁舎建設や新型コロナウイルス感染症対応に係る各施設の更新等があり増加しました。公債費については、令和元年度に過疎債の繰上償還を行ったため非常に大きい数値となっており、令和2年度は臨時財政対策債の繰上償還のみとしたため減少しましたが、類似団体平均値を大きく上回る値で推移しています。繰出金については、簡易水道事業、下水道事業の元利償還金が減少しているため、それに伴い減少しています。
実質収支比率等に係る経年分析(2020年度)
分析欄
歳出面では行財政改革で徹底した歳出抑制を行ったこと、歳入面では地方交付税が比較的堅調に推移していることや徴収強化による地方税の確保や財政措置の有利な交付金等の活用により収支の改善が図られています。実質単年度収支が減少しているのは、令和元年度に財源として減債基金5億円を取り崩して5億85百万円の繰上償還を行ったため、マイナス要因である減債基金の取崩が反映されず非常に良い数値となっているためです。今後も、引き続き計画的な財政運営に取り組んでまいりますが、大型事業の元金償還による公債費の増加に伴い、令和6年度以降は財政調整基金の取崩しを予定しているため、実質単年度収支はマイナスとなることが予想されます。
連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2020年度)
分析欄
平成22年度からは一般会計、特別会計ともに赤字はなく、収支は均衡した状態にあります。全会計とも黒字を確保し、健全な財政運営を行っています。今後は大型施設の元金償還が始まることにより公債費の増加が見込まれるため、繰上償還や交付税算入上有利な地方債の活用、計画的な事業実施を行うとともに更なる歳出削減に努めてまいります。
実質公債費比率(分子)の構造(2020年度)
分析欄
実質公債費比率は、前年度に比べ分母は77百万円増加し、分子は69百万円減少しています。前年度と比較し令和2年度単年ベースの比率は約4.2ポイント改善し、3年間を平均した比率は13.1%から13.0%に改善しています。分子の減少要因は、令和元年度に過疎債の繰上償還5億85百万円を行い、令和2年度以降の元利償還金を抑えた一方、算入公債費等には計上されたままとなっているためです。学校建設事業やごみ処理施設整備事業といった大型事業の元金償還開始に伴い、公債費が大幅に増加することが見込まれていることから、繰上償還や有利な地方債の活用、事業費の圧縮等に努めてまいります。
分析欄:減債基金
減債基金残高のうち満期一括償還地方債の財源として積み立てたものがないため、該当なしとなっています。
将来負担比率(分子)の構造(2020年度)
分析欄
将来負担比率は、平成27年度では72.7%でしたが学校建設事業やごみ処理施設整備事業といった大型事業を行ったことにより年々悪化しています。令和2年度は103.7%となり、令和元年度の83.7%と比較し急激に悪化しました。令和2年度は、庁舎建設事業の地方債借入11億30百万円による将来負担額の増加が充当可能財源等の増加よりも大きく影響したため、前年度と比較して分子は4億59百万円増加しました。今後は庁舎建設事業と同程度の規模となる大型事業を行う予定は無いため、将来負担額は減少していくものと考えられますが、繰上償還や有利な地方債の活用、事業費の圧縮に努めてまいります。
基金残高に係る経年分析(2020年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)財政調整基金は25百万円の増、減債基金は1億1百万円の増となっています。特定目的基金は庁舎建設基金-2億19百万円の減、ふるさと西ノ島基金わがとこ9百万円の増などにより、全体では-86百万円の減となっています。(今後の方針)庁舎建設事業の完了に伴い、令和3年度に庁舎建設基金の全額取崩しを予定しています。また、近年の大型事業に係る元金償還開始に伴って令和3年度に公債費が急激に増加し、令和11年度ごろまで同様の状況が続くため、財政調整基金、減債基金ともに可能な限り積立てを行いつつ、取崩しを行っていく予定です。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)令和2年度は取崩しはなく、令和元年度繰越額の1/10以上及び利子分と一般財源の合計25百万円を積立てています。(今後の方針)近年の大型事業に係る元金償還開始に伴って令和11年度ごろまで公債費が高い状況が続くと見込んでおり、備えとして可能な限り積立てを行いますが、取崩しによって基金残高は減少していくと見込んでいます。
減債基金
減債基金
(増減理由)令和2年度は43百万円を取崩し、令和元年度繰越額の1/2以上から財政調整基金積立分を除いたもの及び利子分と一般財源の合計43百万円を積立てています。(今後の方針)近年の大型事業に係る元金償還開始に伴って令和11年度ごろまで公債費が高い状況が続くと見込んでおり、備えとして可能な限り積立てを行いますが、取崩しによって基金残高は減少していくと見込んでいます。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)庁舎建設基金は令和3年度に完了する庁舎建設事業に備え、一般財源を原資に積立てています。ふるさと西ノ島基金わがとこは、ふるさと納税を原資に積立て、寄付者の指定した使途にあわせ取崩しを行っています。家畜市場整備基金は、JAからの負担金を原資として積立て、該当事業の元利償還にあわせ取崩しを行っています。ジオパーク拠点施設整備基金、隠岐島前病院整備基金は県補助を原資に積立てを行い、該当事業の元利償還にあわせ取崩しを行っています。(増減理由)全体では、-2億14百万円の減となっています。内訳は次のとおりです。庁舎建設基金は、-2億42百万円を取崩し。ふるさと西ノ島基金わがとこは、-60百万円を取崩し、70百万円を積立て、差引10百万円の増。家畜市場整備基金は、地方債償還(利子分のみ)にあわせ-6千円取崩し、基金利子分4千円を積立てたため、百万円単位では増減なし。ジオパーク拠点施設整備基金は、元利償還にあわせ-1百万円取崩し。隠岐島前病院整備基金は、元利償還にあわせ-1百万円取崩し。(今後の方針)庁舎建設基金は該当事業の完了に伴い、令和3年度に全額を取崩す予定としています。ふるさと西ノ島基金わがとこは、寄付額に応じ積立て、取崩しを行う予定としています。家畜市場整備基金、ジオパーク拠点施設整備基金、隠岐島前病院整備基金は元利償還にあわせ全額を取崩す予定としています。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2020年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
令和2年度決算では、類似団体内平均値より4.0%低い状況となっています。道路や建物などの施設別の数値については、施設類型別ストック情報分析表で見ていきますが、平成28年度までは他団体と比較し固定資産の老朽化がやや進んだ状態にあったものが、近年積極的に施設整備・更新を行ったことにより有形固定資産減価償却率は改善しました。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
令和2年度決算では、類似団体平均と比べ債務償還比率が440.8%多く、非常に高い数値となっています。財政基盤の弱い西ノ島町では、施設整備を行う際にその財源を地方債に頼る必要があるため、施設整備を多く行った年度後は高くなると言えます。ただし、地方債の借入には交付税措置の有利なものを選択しているため、今後改善していくものと考えています。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
他団体と比他団体と比較し有形固定資産減価償却率がやや低い状況にあり、将来負担比率は皆増となっています。平成29年度まで積極的に施設整備・更新を行ったことにより、有形固定資産減価償却率は改善しましたが、それに伴う地方債の借入を行ったため将来負担比率は増加していました。平成元年度決算と令和2年度決算を比較すると、新庁舎の竣工に伴って有形固定資産減価償却率は改善しましたが、地方債の借入により将来負担比率は大きく悪化しました。令和3年度以降、庁舎建設事業と同規模となる大型事業は予定されていないため、将来負担比率は改善するものと考えられます。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
将来負担比率、実質公債費比率ともに類似団体と比較して高い水準にあります。将来負担比率は、平成30年度から改善傾向にありましたが、令和2年度の新庁舎竣工に伴う地方債借入が多くなったため大きく悪化しました。実質公債費比率は令和元年度と比較して0.1%改善しましたが、依然として高い水準となっているため、引き続き悪化を抑制するために積極的な繰上償還を行います。
施設類型別ストック情報分析表①(2020年度)
道路
橋りょう・トンネル
公営住宅
港湾・漁港
認定こども園・幼稚園・保育所
学校施設
児童館
公民館
施設情報の分析欄
離島という特性上、道路、橋りょう・トンネルの一人あたり資産(延長)が低く減価償却率も低い状況となっていますが、一方で港湾・漁港は一人あたり資産が非常に多い状況と言えます。減価償却が進むにつれ更新整備を行っていく必要があります。公営住宅については、民間の賃貸住宅が少ない事情もあり人口に比べ一人当たり面積が多く、また老朽化が進んでいるため毎年度改善事業を行っており、平成29年度からは減価償却率が改善されています。保育所については、平成27年度からの改修・増築工事が完了したため減価償却率、一人当たり面積が大きく改善されています。また、学校については平成27年度に新校舎が完成したため、減価償却率が大きく下がっています。児童館・公民館については、減価償却率が非常に高いため、平成30年度から徐々に改修を行っており、減価償却率が下がっています。
施設類型別ストック情報分析表②(2020年度)
図書館
体育館・プール
福祉施設
市民会館
一般廃棄物処理施設
保健センター・保健所
消防施設
庁舎
施設情報の分析欄
図書館は、平成29年度末に新設図書館が竣工したことにより、減価償却率は非常に低い数値とっています。一般廃棄物処理施設は、平成29年度に新焼却施設が完成したことにより、減価償却率が大きく改善しています。福祉施設については、他団体と比較し高齢化率が従前より高いこともあり、一人当たり面積も多く充実していると言えます。庁舎については、令和2年度に新庁舎が竣工したことにより、減価償却率は非常に低い数値となり、一人当たり面積が改善しています。
財務書類に関する情報①(2020年度)
資産合計
負債合計
1.資産・負債の状況
一般会計等では資産合計が212億2百万円で前年度から7億94百万円の増額(3.7%)となっています。固定資産全体では4億99百万円の増額となっており、変動の大きい項目は事業用資産で庁舎建設、体験型施設整備、教員住宅建設等により11億70百万円の増額となっています。減額となったもので大きい項目はインフラ資産で△4億34百万円となっています。また、投資その他資産では、庁舎建設基金の取り崩しを行ったため2億13百万円の減額となっています。流動資産については、2億94百万円の増額となり、現金預金1億68百万円の増額が主なものです。負債では、負債額が6億7百万円の増額となり、固定負債で地方債の増を主要因に3億46百万円の増額、流動負債では1年以内償還予定地方債の増を主要因に2億60百万円の増額となっています。全体会計では資産合計が244億72百万円で前年度から9億94百万円の増額(4.1%)となっています。
純経常行政コスト
純行政コスト
2.行政コストの状況
一般会計等では経常費用41億59百万円に対し経常収益3億41百万円で純経常行政コストは38億18百万円(前年度から△1億36百万円)となっています。前年度と比較し、経常費用は△1億13百万円(業務費用△83百万円、移転費用△30百万円)となり、経常収益は23百万円の増額となっています。業務費用については、維持補修費が△67百万円、減価償却費は海藻類加工施設等により47百万円の増額となりました。移転費用については、社会保障給付が△13百万円となりました。経常収益は、使用料及び手数料が△6百万円、その他は29百万円の増額となっています。新設した施設の維持管理費等による経常費用の伸びは抑えられましたが、引き続き行政コストの削減を行っていく必要があると言えます。全体会計では経常費用47億88百万円に対し、経常収益5億23百万円で純経常行政コストは42億65百万円となっています。
本年度差額
本年度末純資産残高
本年度純資産変動額
3.純資産変動の状況
一般会計等では、税収等の財源が44億15百万円となり純行政コスト△42億30百万円を上回り、純資産残高は84億16百万円となり、前年度末純資産残高より1億88百万円の増額となりました。このうち、税収等が3億70百万円の増額となっており、地方交付税の増額が大きく影響して純資産が増加していることが考えられます。全体会計では、税収等の財源が50億9百万円となり純行政コスト△46億79百万円を上回り、純資産残高は96億85百万円となり、前年度末純資産残高より3億33百万円の増額となりました。連結会計では、税収等の財源が58億78百万円となり純行政コスト△56億8百万円を上回り、純資産残高は110億15百万円となり、前年度末残高より2億72百万円の増額となりました。
業務活動収支
投資活動収支
財務活動収支
4.資金収支の状況
一般会計等では、業務活動収支が9億67百万円でしたが、投資活動収支は庁舎建設、体験型施設整備、教員住宅建設等を行ったことから△14億46百万円となっています。財務活動収支は、地方債発行収入が償還支出を上回ったことから6億47百万円となりました。近年大型事業(学校建設、ごみ処理施設整備、庁舎建設など)に取り組んでいるため、地方債償還が本格化する令和3年度以降は財務活動収支もマイナスに転じる見込みであり、基金取り崩しによる財政運営を行わざるをえない状況となっています。全体会計では、業務活動収支が10億58百万円でしたが、投資活動収支は上記に加え水道管更新、下水道施設更新を行ったことから△15億98百万円となっています。
財務書類に関する情報②(2020年度)
①住民一人当たり資産額(万円)
②歳入額対資産比率(年)
③有形固定資産減価償却率(%)
1.資産の状況
住民一人あたりの資産額は類似団体と比較し高くなりました。新庁舎建設による固定資産額の増加と住民人口の減少が大き影響し、前年度より7億9,408万円(一人当たり40.9万円)増加しています。歳入額対資産比率は類似団体と比較し低くなっています。令和2年度(歳入総額68億10百万円)は分母となる歳入総額が新庁舎建設に伴い大きく増加しましたが、分子となる資産合計も大きく増加したため、前年度より0.22年減少しています。なお、平成29年度はごみ処理施設整備などの大規模事業の地方債借入があったため歳入総額が大きく一時的に低い値になっていたとも言えます。有形固定資産減価償却率は積極的に施設整備を行った結果、類似団体を少し下回る結果となりました。今後は、インフラ資産である道路や水道管などの更新を進めていく必要があります。
④純資産比率(%)
⑤将来世代負担比率(%)
2.資産と負債の比率
純資産比率は類似団体と比較し大幅に低く、将来世代負担比率は大幅に高い状況となっています。自主財源に乏しい西ノ島町では普通建設事業を行う場合、国県等補助金、地方債の発行が必須となるためです。このため交付税措置率の高い過疎債、辺地債を中心に有利な条件の地方債の借入を行っています。令和2年度は、施設整備による資産の増加よりも地方債をはじめとした負債額の増加が上回ったことが影響して、純資産比率は0.6%の減となり、将来世代負担比率は1.6%の増となりました。
⑥住民一人当たり行政コスト(万円)
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは、類似団体平均値を上回っています。前年度と比較し、新型コロナウイルス感染症対策に係るコストが新たに発生したことや、海藻類加工施設等の減価償却費の発生、住民人口の減少により悪化しました。今後、大型事業の減価償却が進むにつれさらに悪化することが予想されます。また、平成29年度から特定有人国境離島法による施策が開始されたことなどにより行政コストが大きく伸びています。なお、西ノ島町は離島という特性上、航路維持に対する補助金等や海上輸送にかかる経費が様々なことに上乗せされることにより他団体より行政コストが高くなる傾向があると考えらます。
⑦住民一人当たり負債額(万円)
⑧基礎的財政収支(百万円)
4.負債の状況
住民一人当たり負債額は、類似団体と比較して大きく上回っていますが、大規模事業に係る元金償還の始まる令和3年度頃までは高い状態が続くものと考えられます。一方で、過疎債、辺地債は償還期間が12年、10年と短いため、その後急激に減少すると考えられます。基礎的財政収支は、業務活動収支の黒字分を投資活動収支の赤字分が上回っているため△5億43百万円となり、類似団体平均値を下回っています。今後は、大型事業に係る地方債償還が増え、それに伴う交付税収入も増えるため業務活動収支の黒字分が伸び基礎的財政収支については改善することが予想されます。
⑨受益者負担比率(%)
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は、類似団体平均値を上回り、前年度と比較して0.8%増加しました。令和2年度は、経常費用は維持補修費が△67百万円、社会保障給付が△13百万円など△1億13百万円となり、経常収益は23百万円伸びたため、受益者負担比率は0.8%伸びました。