経営の健全性・効率性について
益田市の公共下水道事業は、「経営の健全性」に関する経営指標について、「企業債残高対事業規模比率」は、事業着手後間がなく、しばらくは投資が続くため、企業債残高は増加し、当該数値は高くなると想定される。このため投資規模の適正化を図るとともに接続率の向上に努め、使用料収入の増加に取り組む必要がある。「経営の効率性」に関する経営指標について、類似団体と比較すると、「経費回収率」は、同程度の結果となっており、平成21年度一部供用開始後間がないため接続率が低く使用料収入が少額なため100%未満となっている。また「汚水処理原価」は汚水処理費用が近年増加している。よって効率的な汚水処理のため引き続き投資の効率化や維持管理費の削減に努め、接続率の向上による有収水量の増加に取り組む必要がある。「施設の効率性」に関する指標について、適切な施設規模を示す「施設利用率」は、供用開始後間がなく接続率が低いため、類似団体と比較して低い数値となっているが、年々接続率は向上しており、今後処理水量の増加が見込まれることから、当該数値は高くなると想定される。また「水洗化率」は、ほぼ平均的な数値となっているが、100%未満となっており、引き続き接続率の向上に取り組む必要がある。
老朽化の状況について
益田市の公共下水道施設は、比較的新しい施設であるが、施設の改築・更新には多額の費用を要するため、日頃から定期的な保守点検や修繕による延命化を図っている。
全体総括
益田市の公共下水道事業は、平成21年度より一部供用を開始してはいるものの、全体計画に対する整備率は非常に低く、使用料収入の増加による経営健全化を図るためにも、未整備区域の整備が急がれるところであるが、過大な投資は、借入金の返済によって将来の経営を圧迫することとなるため、整備にあたっては、効率的、かつ適正規模の整備拡張を行っていく必要がある。また、水洗化率の向上は、整備済下水道施設を最大限に活用し、公共用水域の水質保全に大きく寄与するとともに、投資資本の早期活用及び使用料の増収など、経営の健全化につながることから、引き続き向上に努めるとともに、今後の施設更新や長寿命化事業による下水道事業の持続を行っていくため、平成32年度予算・決算までの企業会計への移行について検討するところである。