経営の健全性・効率性について
令和4年度に、上水道事業から簡易水道事業へ変更認可を行ったため、令和3年度までの比率が記載されていない。また、令和5年度に富貴簡易水道が法適用して加わったため、指標の変動要因となっている。①経常収支比率については、前年度から11.99ポイント改善した。これは、コロナ禍で減っていた観光客による給水需要が戻ってきたことにより、給水収益が増加したことによるものと考えられる。②欠損金は発生していない。③令和5年度は事業量が多く未払金が多額となったため、流動比率は下がったものの、100%を超える水準であり、短期的な支払能力は問題ない。④企業債残高対給水収益比率は、富貴簡水が加わったことと事業に伴う起債により悪化したが、類似団体平均値を大きく下回っており、企業債への依存度は低い。⑤料金回収率は高野簡水単独では100%を超えているが、富貴簡水が45%程度と低く、全体を押し下げる要因となっている。⑥給水原価は、昨年度から若干高くなった。有収水量は増加したものの、物価高騰等の影響により営業費用が増加したこと、事業の増加により特定収入に係る消費税額の雑支出処理額が増加したためである。⑦施設利用率は、類似団体平均を下回る水準である。施設更新時には施設規模やスペックの適正化を検討する必要がある。⑧有収率は、類似団体平均とほぼ同じ水準である。漏水調査や老朽管路の更新を引き続き行っていく必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は富貴簡水が加わったことにより数値が若干下がったが、法適用時にはそれまでの減価償却累計額を控除した金額を帳簿原価としているため、実態を適切に表した数値となっておらず、実際には老朽化が進んでいる状況である。②管路経年化率は類似団体平均を大きく上回る高い水準で推移している。高野簡水の昭和11年度の供用開始から80年以上が経過しており、多くの管路施設が更新の時期を迎えている。一方、③管路更新率は低く対応が遅れている。基幹管路を中心とした老朽管の計画的更新が必要である。
全体総括
今年度は富貴簡水が加わったことにより指標に少なからず影響が出ている。高野簡水は経営の健全性は現在のところ比較的良好である。他方、富貴簡水の料金回収率は100%を大きく下回っており、一般会計からの繰入金に大きく頼った事業運営となっている。施設の状況に関しては、高野簡水を上水道から簡易水道へ認可変更したことにより、国の補助金を受けやすい状況となったが、少子高齢化による人口減少により給水人口の増加が見込めない中、特に管路施設の老朽化が著しい状況であり、更新財源の確保が課題となっている。今後も健全な事業運営をめざしてより効率的な経営を行っていく必要がある。