経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は117.76%で、類似団体平均値も上回っており、現時点では良好な経営状況であると言えます。③流動比率については、類似団体平均値を上回り大幅に上昇していますが、建設改良工事(第2配水池耐震補強工事)に繰越が生じたこと、投資有価証券が満期を迎えることにより、一時的に流動資産に4億円超の増加要因が生じたためです。今後、施設の更新に伴い、資金の流出が進むため低下していく見込みです。④企業債残高対給水収益比率については、平成12年度以降企業債の借入を行っていないため、数値は類似団体平均より大幅に低くなっていますが、今後、老朽管の更新時に、企業債の借入を行う予定で、数値は上昇する見込みです。⑥給水原価については、企業債利息の減少等により、類似団体平均より低くなっており、⑤料金回収率も115.98%で、現時点では必要な経費を料金で賄えている状況です。しかし、今後老朽施設の更新事業を実施していく中で、減価償却費は増加し、企業債の借入に伴う支払利息の増加等により、数値は大幅に悪化することが予想されます。⑦施設の利用率については、類似団体と比較しても低位にあり、能力の半分も利用していない状況です。節水機器の普及等により水需要は低迷しており、長期的には人口減が予想されていることから、今後さらに低下するおそれがあり、適正な規模に施設を見直す必要があります。⑧有収率は高い数値にありますが、これは計画的に石綿管や鉛給水管の布設替を行ってきたことにより、漏水が減少したことによるものです。しかし、人口急増期に一気に布設した配水管の老朽化が進んでおり、今後漏水が増加するおそれがあります。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は類似団体と比較して、高い状況にありますが、浄水施設や取水施設(深井戸)、導配水設備などの老朽化が進んでいることによるもので、資産の長寿命化を図りながら、計画的に更新を行う必要があります。②管路経年化率については、人口急増期の昭和50年代に集中的に布設した配水管が法定耐用年数の40年を経過し始めたことから一気に上昇しており、今後もその傾向が続く見込みです。今後、老朽化した基幹管路を中心に計画的に更新を行っていく予定です。
全体総括
短期的には経営上大きな問題はありませんが、長期的にみると、人口減による給水収益の減少、施設の老朽化に伴う更新費用の増加などで経営の悪化が見込まれます。特に昭和50年代に集中整備した配水管については、法定耐用年数を経過し始めていますが、耐震性が低いものが多いことから、計画的な更新を行うための体制整備と財源確保が課題となります。平成28年度は、監査法人による経営分析を実施しましたが、平成29年度は今後の水需要に基づく水道施設の適正化や耐震化、老朽化対策を検討した上で投資計画を作成します。財源確保の方策の検討と投資の優先順位付け・平準化を行った上で経営戦略を策定する予定としており、長期に渡り安定的な経営を目指します。