地域において担っている役割
当院は市民の健康保持に必要な医療を提供する市の中核医療機関として,地域の診療所等との役割分担と連携により,救急医療を含め診療体制の充実を図っている。特に今後も増加が見込まれるがん診療への取組(緩和ケア含む),認知症合併患者への対応,心不全患者への対応,各種検診の推進に努めている。さらに,地域の後方支援病院として,在宅患者急変時の受入医療機関としての役割を果たしており,療養後は住み慣れた自宅へ早期に復帰できるよう在宅復帰支援への取組にも注力している。
経営の健全性・効率性について
・新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により,入院・外来患者数が減少したことで,医業収支比率は大きく減少したが,市からの資金手当や国からの新型コロナウイルス感染症関連補助金の交付により経常収益が増加し,経常収支比率は106.2%と純損益においては黒字となりました。・病床利用率の低下は受診控えや不急な手術の延期などにより,入院患者数が大幅に減少したことが要因です。加えて,令和3年2月より新型コロナウイルス感染症患者受入病床拡充のため,一つの病棟を新型コロナウイルス感染症専用病床へ転換し,一部の病床を空床で運用したことも要因です。・診療単価の増加については,受診控え等により比較的診療単価の低い診療科の患者数が減少したことが要因です。・累積欠損金比率については,依然として高比率であり,継続的な改革の取組を実践することで,当該比率の減少が求められる状況です。
老朽化の状況について
平成24年度の新病棟の改築工事により,有形固定資産減価償却率は,類似病院よりも低い水準となっているが増加傾向にあります。器械備品減価償却率については,近年,MRIやCT等の高額医療機器の更新を行ったことに加え,本年度においても調剤支援システム及び調剤機器などの医療機器の更新を行ったことで,全国平均・類似病院よりも低い水準となりました。
全体総括
新型コロナウイルス感染症のパンデミックから市民の命と健康を守るため,市の中核病院として求められる新型コロナウイルス感染症への対応に取り組むと共に,院内感染対策を講じながら通常通りの入院・外来診療機能の継続にも努めました。経営状況については,補助金等により黒字となりましたが,補助金等の収入は一時的なものであり,今後も引き続き収支改善に取り組んでまいります。令和3年度においても新型コロナウイルス感染症は持続するものであり,ワクチン事業等に協力するなど市民病院としての役割を果たしてまいります。