経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、公営企業法を一部適用した平成28年度以降、継続して100%を超えているが、将来的な下水道使用料の減少や維持管理コストの上昇が見込まれるなか、施設の改築更新に係る財源を確保していく必要がある。②累積欠損金比率は、累積欠損金が発生しておらず0%である。③流動比率は、昨年度より2.96ポイント改善し、類似団体平均値を超えたものの、流動負債のうち建設改良費等に充てた企業債償還金が占める割合が大きいことから、100%未満の数値となっている。④企業債残高対事業規模比率は、早くから本格的に事業に着手したこともあり全国平均値と類似団体平均値を超えているが、企業債残高は順調に減少しており、率も減少傾向にある。⑤経費回収率は、昨年に引き続き100%以上であり適切な使用料水準である。⑥汚水処理原価は、類似団体と比較すると高くなっているが、高低差が少なく東西に長い当市の地形的要因により4つの処理施設を有している影響と考えられる。施設の延命化、施設規模・機能の最適化・高度化により、効率的な汚水処理に努める。⑦施設利用率は、晴天時の汚水最大能力に対する施設利用の効率性を示しており、類似団体平均値と同程度の率となっている。⑧水洗化率は、昨年度より0.33ポイント上昇し、全国平均値と類似団体平均値を上回る良好な数値となっている。
老朽化の状況について
管渠延長1,142㎞のうち、標準耐用年数50年が経過したものは77.08㎞に達しており、今後この延長は増加していく。(なお、台帳の全件調査により布設年度不明分の管渠が減少したため、平成30年度から数値が大幅に減少している。)また、明石市で最初に建設された船上浄化センターが昭和46年の運転開始から約50年を迎えるなど、今後、標準耐用年数を超える下水道施設の急速な増加が見込まれている。老朽化施設対策として、令和元年度に策定した「明石市公共下水道ストックマネジメント計画」を活用し、国の交付金制度を用いた予防保全を中心とする戦略的な維持管理・更新を行っていく。
全体総括
明石市では、事業の財政状況や経営成績など、計画的な経営に必要とされる基礎的情報を得ることを目的に、平成28年度に地方公営企業法の一部適用を行った。公営企業会計導入後5年目となるなか、各分析指標は概ね良好な数値で推移しているが、今後、下水道使用料収入の減少や施設・設備の老朽化など、経営環境は厳しさを増してくことが見込まれる。平成30年度に策定した「長期収支見通し(経営戦略)」に基づき、経営基盤の強化を図り、長期的に安定した事業運営を行っていく。