経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を超えているものの、平成30年度から令和元年度は数値が3.23ポイント減少し、類似団体平均値を下回った。④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値より低い水準にあるが、これは平成25年度以降企業債の新規借入を抑制していたためである。令和元年度からは新規借入れを再開しており、今後も継続する水道施設の更新に対し、新規借入れを予定していることから、④は増加する見通しである。⑤料金回収率は平成29年度以降、類似団体平均値を下回る状況にある。将来的に人口が減少していくこと及び大口使用者の水需要減少傾向による給水収益の減少が見込まれることに加え、平成30年度から令和元年度は数値が3.68ポイント減少したため、今後は給水にかかる費用を削減する必要がある。⑥給水原価は、平成29年度を除き類似団体平均に沿う傾向にあり、数値が増加した平成29年度と令和元年度を比較すると増加傾向にある。今後も増加傾向が続くものと考えるためさらに経常費用を削減する必要がある。⑦施設利用率は、類似団体平均値と比較して良好であるが、給水需要の減少に合わせて施設のダウンサイジング等を行い、さらに効率的な施設利用を目指す必要がある。⑧有収率は、類似団体平均値と比較して極めて良好な状態であるが、平成30年度から令和元年度は数値が1.18ポイント減少したことを懸念する。この対策として令和2年度はさらなる漏水調査に努め、数値の改善を目指す。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、償却対象資産の減価償却が進んでいるため、年々上昇し、類似団体平均値と比較して高くなっている。③管路更新率は類似団体平均値より低い水準で推移し、管路の更新が進んでいないため、②管路経年化率が年々上昇し、結果として類似団体平均値と比較して高い状態のままとなっている。既に整備されている管路については、高度成長期以降に市内各所で実施された大規模開発地内に布設された管路が多い。これら管路の経年化速度が更新速度を上回るため、②管路経年化率の上昇傾向及び③管路更新率の停滞が続くことが予測される。令和2年度からは、工事の効率化を目指す新たな取組みとして概算数量設計による発注を試している。
全体総括
類似団体の各指標と比較して、本市水道施設は老朽化が進んでいるが、経営の健全性・効率性の各指標を分析すると、平成30年度から令和元年度は④企業債残高対給水収益比率を除くすべての指標における数値が悪化したことが確認できる。本市では今後、魚住浄水場の大規模改修や老朽管路の更新工事の拡大等で多額の費用が必要となる。今後は費用において業務委託の中でも長期契約の内容を整理する一方、収益においては中期経営計画の見直しを行うことで、引き続き健全な事業運営と水道サービスの維持増進に努める。