経営の健全性・効率性について
※平成30年度より地方公営企業法を一部適用したため、平成29年度以前の数値は計上していません。①②今年度は約43万円の純利益が発生し、経常収支比率が100%を上回るとともに、累積欠損金も微減しましたが、これは一般会計からの基準外繰入金によるものです。本市の下水道普及率は53.88%と大阪府内でも低いことから、下水道使用料のみでは経常費用の維持管理費は賄えても、資本費(減価償却費+企業債利息)までは賄いきれず、その不足分は依然として一般会計に依存している状況です。③流動比率が低い理由は、普及率の低さから下水道使用料の額が低いため、現預金が少ないこと、また、過去の下水道整備への投資や事業費を補うために借り入れた企業債の償還金が大きいためです。④企業債残高対事業規模比率が類似団体平均値よりも低いのは、平成15年度以降、行財政改革により、下水道整備への投資及び企業債の借入を抑制したためです。⑤経費回収率は100%を下回っており、下水道使用料のみで汚水処理費を賄えていない状況です。これは前述のとおり普及率の低さから下水道使用料が低く、汚水処理費の資本費については一部しか賄えていないこと、また、地方公営企業法の適用に伴い、算出数値の違いなどにより汚水処理原価が増加したことなどが考えられます。⑥汚水処理原価については、一般会計より分流式下水道等に要する経費を受け入れていますが、それでもなお類似団体平均値よりも高い数値となっており、さらに当該経費を除くと264.89円と非常に高い数値となります。これは、前述のとおり過去の投資などにより減価償却費や企業債利息の資本費が高いためです。⑦施設利用率は、単独処理場を設置していないため、当該値を計上していません。⑧水洗化率については、未接続世帯への各戸訪問によるアンケート調査など水洗化率向上に努め、類似団体平均値と同水準にありますが、今後、高齢化や人口減少等の影響により減少傾向に転じる恐れがあります。
老朽化の状況について
本市の下水道事業は、平成元年度より着手したため、市施工の下水道管渠等は耐用年数の50年に至っていませんが、民間企業から移管された施設では50年を超える管渠が一部発生してきており、今後、「②管渠老朽化率」が進む傾向にあります。また、本市は普及率が低いことから、下水道管渠の新設工事と既設老朽管等の改築更新工事を並行して実施しなければならず、今後、固定資産は年々増加し減価償却も進んでいくため、「①有形固定資産減価償却率」が上昇することが見込まれます。今後は、経営状況を勘案しながら、令和元年度に策定した「ストックマネジメント計画」に基づき、計画的かつ効率的な管更生など老朽化対策に取り組む必要があります。なお、令和3年度は既存管渠の改築更新工事等を実施しなかったため、「③管渠改善率」については0となっています。・H26長寿命化計画を策定→H27年度計画を策定→H28~H30民間企業から移管された老朽管の更正事業を実施・R1ストックマネジメント計画を策定→R2直近5年間の修繕・改築計画を策定
全体総括
独自の終末処理場を有しない本市は、大阪府南部水みらいセンターにて下水の処理を行い、その運営経費を負担しています。また、供用開始前後の施設建設経費の財源に充てた企業債の償還額がピークを迎え、下水道事業会計のみならず、一般会計も非常に厳しい財政状況にあることから、阪南市行政経営計画に基づき、効率的な手法、箇所を選定した施設整備の実施に努め、下水道人口の普及率、下水道接続率向上に取り組んでいます。さらに、高齢化の進展や人口減少、節水機器の普及などにより有収水量は減少傾向にあり、今後も下水道使用料の減少が予想される一方で、近い将来、公共下水道の整備及び老朽管の更新の事業を並行して進める必要が生じるなど多額の投資額が見込まれ、非常に厳しい下水道事業経営になると予測しています。そこで、平成31年4月より指定業者登録手数料等の見直し、令和元年10月より平均改定率8%の下水道使用料の値上げの実施、令和元年度末に「ストックマネジメント計画」を、令和2年度末に「経営戦略」を策定しました。今後は、それらに基づき、計画的な建設・更新工事、下水道施設の効率的な維持管理、費用対効果を踏まえた経費の節減など経営の効率化に努めるとともに、下水道使用料の適正化を含め将来を見据えつつ、経営基盤の強化を図り、健全な下水道経営を目指していきます。