経営の健全性・効率性について
本市の下水道事業は令和元年度より地方公営企業法を一部適用し、公営企業会計となりました。そのため、令和元年度のみの各数値の計上となっています。経常収支比率は類似団体平均値よりも低くなっているものの、100%は上回っており、累積欠損金も発生していません。企業債残高対事業規模比率は類似団体平均値の約2.7倍と非常に高い数値となっています。これは、これまでに借入した建設改良費等に充てた企業債の残高が、高い水準となっているためです。そのために、年度ごとの元金償還額も多額となっており、流動比率も全国平均値・類似団体平均値を大きく下回っています。また、経費回収率も90%を下回っており、今後も維持管理費等の増加に伴い汚水処理経費は増加していくと考えられるため、下水道使用料収入の改善が長期的な課題となっております。使用料収入の改善のためには整備事業を推進し、普及率の増加に努めると同時に、水洗化率を向上させ、下水道の利用率を高めることが重要ですが、水洗化率は類似団体平均値を下回っています。このため本市では水洗便所改造助成や水洗化にかかる工事費の融資斡旋、再任用職員による啓発活動等に取り組み、水洗化率の向上を図っています。なお、本市は独自の下水処理施設を持たないため、施設利用率の表は空欄となっています。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は類似団体平均値より低くなっています。また、法定耐用年数を経過した管渠がないため、管渠老朽化率は0で、そのため管渠の更新も行っておらず管渠改善率も0となっています。しかし、小山雨水ポンプ場、北條雨水ポンプ場等の施設は老朽化が進んでおり、「藤井寺市下水道ストックマネジメント計画」に基づき修繕・改築等を令和元年度より実施しています。
全体総括
令和元年度は公営企業会計への移行後、初めての決算でしたが、今後、健全かつ安定した経営に取組むためには、多くの改善が必要です。令和2年10月より下水道使用料の改定を行ったことで、令和2年度以降の使用料収入は令和元年度より増額となる見込みですが、依然として経営が厳しい状況には変わりありません。経常収支比率の100%以上の維持や、企業債の借入と元金償還のバランスを取り企業債残高の減少を図りながらも、新規整備事業を進めていくことが今後の重要な課題と考えています。また、並行してストックマネジメント計画に基づいた施設の修繕・改築等も行っていく必要があるため、そういった状況の中でも、多額の財源確保が必要となります。平成30年度に策定した経営戦略を基に、経営の健全化の取組みによる経営の基盤強化を図りながらも、安定的な事業の継続に努めてまいります。