経営の健全性・効率性について
令和2年度の経常収支比率は、令和2年1月1日以後に確定する水道料金から増額改定を実施したことにより、104.32%と令和元年度から9.11ポイント改善し、経常黒字を計上することができた。また、料金回収率においては、見た目上の数値は令和元年度から0.24ポイント悪化しているが、令和2年度の値を給水収益に新型コロナウイルス感染症に係る水道料金減免実績額を足した実質の供給単価で算出した場合95.41%となり、改善していることとなる。一方流動比率では、令和元年度には保有していた有価証券の売却や料金改定の影響により類似団体平均値に近い値まで改善したが、令和2年度は再び悪化している。施設利用率は40.69%と依然低く、類似団体平均値を下回る結果となっているが、その一方で、有収率は99.03%と、類似団体平均値と比較しても高い水準を維持しており、高い割合で施設の稼働状況が収益に反映されていると言える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が年々上昇を続けているが、令和2年度でも45.95%と、類似団体平均値より低い数値となっており、有形固定資産全体で、類似団体と比較しても計画的に更新が行えていると言える。管路経年化率は類似団体平均値及び全国平均よりも高い数値となっており、また、現在は重要給水施設配水管の耐震化と鉛製給水管の改修を優先的に実施しているため、管路更新率も年度により差が出ているが、計画どおり更新を進めることができている。
全体総括
令和2年1月1日以後に確定する水道料金から増額改定を実施したことにより、経常収支比率等は改善し、黒字決算を達成することができたが、平成30年度からの累積欠損金を全て解消するには至らなかった。また、料金回収率が常に100%を下回っている状態であることからも、非常に厳しい経営状況であることがわかる。固定資産については、平成25年度に浄水場の耐震補強改修は完了し、現在は、重要給水施設配水管耐震化事業及び鉛製給水管改修事業を進めている。経営状況の改善と今後の更新事業に必要な財源の確保を図るため、今後も引き続き適正な料金体系のあり方や経営状況の検証、見直しを継続して実施する。