経営の健全性・効率性について
令和元年度の経常収支比率は、95.21%と平成30年度と同様に100%を下回っており、全国平均の112.01%と比較しても低い水準ではあるが、令和2年1月1日以後に確定する水道料金から増額改定を実施したことにより、平成30年度から3.78ポイント改善している。しかしながら、平成29年度から3年連続の経常赤字となっており、累積欠損金は拡大している。料金回収率においても、水道料金の増額改定により供給単価が上昇したため、平成30年度から4.87ポイント改善しているが、86.93%と依然100%を下回っており、給水に係る費用を料金収入で賄えていないことがわかる。流動比率では、平成30年度まで年々悪化していた値が、保有していた有価証券の売却や料金改定の影響により類似団体平均値に近い値まで改善した。施設利用率が41.25%と依然低く、類似団体平均値を下回る結果となっているが、その一方で、有収率は97.29%と、類似団体平均値と比較しても高い水準を維持しており、高い割合で施設の稼働状況が収益に反映されていると言える。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が年々上昇を続けているが、令和元年度でも45.38%と、類似団体平均値より低い数値となっており、有形固定資産全体で、類似団体と比較しても計画的に更新が行えていると言える。管路経年化率は類似団体平均値及び全国平均よりも高い数値となっており、また、現在は重要給水施設配水管の耐震化と鉛製給水管の改修を優先的に実施しているため、管路更新率も0.49%と平成30年度と比較して2.06ポイント減少してはいるが、計画どおり更新を進めることができている。
全体総括
令和2年1月1日以後に確定する水道料金から増額改定を実施したことにより、経常収支比率等は改善傾向にあるが、人口の減少や節水意識の定着、大口使用者の地下水利用の拡大などの影響による給水量の減少傾向は続いているため、令和元年度においても赤字決算となり、累積欠損金が拡大することとなった。また、料金回収率が常に100%を下回っている状態であることからも、非常に厳しい経営状況であることがわかる。固定資産については、平成25年度に浄水場の耐震補強改修は完了し、現在は、重要給水施設配水管耐震化事業及び鉛製給水管改修事業を進めている。経営状況の改善と今後の更新事業に必要な財源の確保を図るため、今後も引き続き適正な料金体系のあり方や経営状況の検証、見直しを継続して実施する。