経営の健全性・効率性について
本町の下水道事業は、平成13年8月31日に開始後約15年が経過し、平成37年度の概成を目指して面整備を精力的に進めている状況にあります。管渠整備ができて間もない区域が多く、また、合併浄化槽の整備が既に済んでおり、高齢者単身や高齢世帯が多いため水洗化工事に対して消極的となっていることから、水洗化率が50%前後と類似団体と比べても大きく下回っており、施設利用率も低くなっています。また、平成22から24年度にかけて終末処理場の増設を実施したため、事業規模に対する企業債残高の比率が高くなっています。現状では、施設が新しく修繕費が抑えられているため、汚水処理原価が低く抑えられています。収益的収支比率、経費回収率はともに100%以上であるため、現在のところ、事業運営としては収支バランスが取れています。平成44年度以降は、当初起債の償還完了となることもあり企業債残高は減少傾向となると考えています。今後の円滑な事業運営のために、着実な面整備の推進と水洗化率の向上が必要と考えています。
老朽化の状況について
供用開始(平成19年3月31日)より9年経過(10年未満)であるため、現在のところ、施設に老朽化は生じていませんが、今後は、電気、機械設備について更新の必要性が生じることが想定されます。そのため、処理場施設について、平成25年度に策定した施設管理計画に基づき、設備毎に計画的な点検・修理などのメンテナンスを行うことで、長寿命化を図っており、7年後まで改築更新の必要がない状況となっています。
全体総括
本町の下水道事業は開始間もない状況で面整備の途上にあります。現在のところ、一般会計からの繰入や使用料収入を確保できていることから、経営環境としては健全なものと考えていますが、今後、水洗化率の向上を図り施設利用率を高める等の改善が求められるため、中長期的な経営の基本計画である「経営戦略」を策定し、同計画に基づく経営基盤強化に取り組むこと等により、事業を安定的に継続することが必要であると考えています。また、将来的な施設の老朽化に備えて、適正な維持管理とともに合理的な改築更新を検討し、下水道施設の機能の維持と増進を図りながら、適正な経費を効果的に投資し、整備・管理・更新事業の一体的展開を実現させるアセットマネジメントの確立を目指していく必要があると考えています。