地域において担っている役割
山間へき地にあり、高齢化率45%の当地域は、近隣の二次・三次いずれの救急指定病院までも50分以上要するため、地域唯一の救急指定病院として住民の医療、健康面での安心・安全な暮らしの拠点としての役割を担っている。また、当院は岐阜県の最北端に位置するため近隣の富山大学からの医師派遣協力のもと、外来では15の診療科を標榜し、診療科の連携をとりながら診療にあたっている。入院では、急性期から慢性期、ターミナル期まで幅広い分野での医療に加え、地域包括ケア病床を活用し、効率的な医療・看護・リハビリを行い在宅復帰支援に注力している。
経営の健全性・効率性について
外来については平成30年度から常勤の小児科医を迎えたことによる小児科患者増加もあり増収となったが、入院については10月以降の患者減少に伴い減少しており、全体的には大幅な減少となっている。依然として類似病院の平均値より大きく下回っており、外来診療科の在り方を含めた検討が必要となっている。職員給与費対医業収益比率は、労働基準監督署による許可が下りたことにより、深夜帯の患者対応時間を除き一定額の手当で支給対応することができたことにより10月以降の時間外勤務手当が大幅に削減された。材料費対医業収益比率は類似病院の平均値より下回っているため引き続き適正な在庫管理、購入に努める。費用全般としては節減に努めたが、医業収益の減をカバーしきれず、経常収支において大幅な改善はできたものの、結果として当年度純損失を計上した。
老朽化の状況について
当院本館部分は平成元年建設で、建物や建物付帯設備、機械等の老朽化が著しい。施設、医療機器については、需要や費用対効果、財源状況等を考慮しながら、今後計画的な更新が必要である。また、建設当時とは状況、環境が異なっていることを慎重に分析し、過大投資にならないよう改善を実施していく。一床当たりの有形固定資産の額は類似病院の平均を上回っているが、医療過疎地域において、必要な医療行為も多岐にわたることで必要となる医療機器も増えているのが現状である。
全体総括
経営改善のため平成27年度から導入した経営コンサルタントの成果として、職員の意識改革が進み、新規加算の取得や効果的な病床利用の促進が図れ、医業収益の改善成果が現れてきた。経営改善に向け、医業収益の確保、医業費用の削減の両面において取り組むとともに、さらなる職員の資質向上を図る必要がある。併せて、医師や看護師、介護士等の医療スタッフ不足も否めないため採用と育成に注力していくことが大切である。引き続き、新公立病院改革プラン及びそれを実践するための中期計画目標を元に、地域唯一の公的医療機関として堅実な経営を目指したい。