経営の健全性・効率性について
当事業の経営については、当該年度に発生した断水に伴う営業費用の増加により、一部の数値が前年と比較し不良ではあるものの、他の類似団体の平均値と比較すると概ね良好な状態である。経常収支比率は、前年度と比較して3.85ポイント低下し、平均値を下回っている。また、料金回収率は前年度より5.54ポイントの減少、給水原価は前年度より9.1円増加している。これらの主な原因は、断水に伴い浄水場の修繕費や受水費などの営業費用が増加したためであり、一過性のものである。流動比率は、651.17%と高く、支払能力が高いことを示しているが、これは、流動資産の中に今後の更新費用の財源となる資金を含んでいるためである。企業債残高対給水収益比率が年々低くなっているのは、当事業が平成20年度から企業債借入を行わず経営をしており、計画的な企業債の返還がされているためである。施設利用率は、前年と同様全国平均よりも高い値であり、効率的に施設利用がされていると言える。有収率は前年度と比較して0.82ポイント減少しているが、これは断水に伴い洗管作業を行ったことが主な原因であり、一過性のものである。類似団体の平均値を上回る数値ではあるが引き続き漏水調査を行い、有収率の向上に努める。
老朽化の状況について
水道施設の老朽化の状況は、類似団体と比較して、概ね良好な状態である。有形固定資産減価償却率は、43.71%と平均値を下回っており、施設が比較的新しいと言える。しかし、年々値が上がってきており、引き続き、計画的に老朽化施設の更新等を進めていく必要がある。また、管路経年化率も同様に値が上がっていることから、法定耐用年数を超えた管路が多くなり、老朽化が進んでいると考えられる。管路更新率は、前年より大幅に下がっているが、繰越工事が多かったことによる一過性のものである。また類似団体と比べて低い傾向であるが、これは大口径の基幹管路を中心に更新しているためであり、今後は基幹管路更新が完了し、配水枝管更新に取り組んでいくため、更新率が改善されると考えられる。
全体総括
当事業の経営状況は、上記分析からも安定的な経営が維持されている。しかし、将来を見据えたとき、人口減少による給水収益の減収や施設の老朽化に伴う費用の増大などの不安定要素がある。水道施設から給水した水量がどの程度収益に結びついているかを表す有収率を増加させるため、引き続き漏水調査を行い、原因の特定や早急な修繕に努め、無駄をなくしていく。また水道ビジョンを現在の国の政策や方針、美濃加茂市の現状に合わせたものへと作り変えることで、美濃加茂市水道事業が歩む道筋を明確にするとともに、水道ビジョンや経営戦略に基づいた計画的な施設の更新を行うことで費用の平準化及び安定的な経営の継続を図っていく。