経営の健全性・効率性について
当事業の経営は、類似団体と比較しておおむね良好な状態である。経常収支比率は、類似団体と比べると113.87%と高いが、昨年度と比較して5.42ポイント低下している。また、給水原価は、昨年度より9.04円増加している。これらの原因は、昨年度より減価償却費等が増加したことである。流動比率は、581.53%と高く、支払能力が高いことを示しているが、これは、流動資産の中に今後の更新費用の財源となる資金を含んでいるためである。企業債残高対給水収益比率が年々低くなっているのは、当事業が平成20年度から企業債借入を行わず経営をしており、計画的な企業債の返還がされているためである。料金回収率は、毎年高い値を示している。これは、維持管理費用などを給水収益で賄ったうえで、さらに将来の更新費用の準備もできていることを示しており、料金水準は適切だと考えられる。施設利用率は、昨年と同様全国平均よりも高い値であり、効率的に施設利用がされていると言える。有収率は、昨年度とほぼ横ばいであり、まだまだ全国平均を下回っているので、引き続き漏水調査を行い改善を図る。
老朽化の状況について
水道施設の老朽化の状況は、類似団体と比較して、概ね良好な状態である。有形固定資産減価償却率は、41.90%と低く、施設が比較的新しいと言える。しかし、年々値が上がってきており、引き続き、計画的に老朽化施設の更新等を進めていく必要がある。また、管路経年化率も同様に値が上がっていることから、法定耐用年数を超えた管路が多くなり、老朽化が進んでいると考えられる。管路更新率は、類似団体と比べて低い値であるが、大口径の基幹管路を中心に更新しているためであり、今後は、基幹管路更新が完了し、配水枝管更新に取り組んでいくので、更新率が改善されると考えられる。
全体総括
当事業の経営状況は、上記分析からも安定的な経営が維持されている。しかし、将来を見据えたとき、人口減少による給水収益の減収や施設の老朽化に伴う費用の増大などの不安定要素がある。水道施設から給水した水量がどの程度収益に結びついているかを表す有収率を増加させるため、漏水調査を行い、原因の特定や早急な修繕に努め、無駄をなくしていく。また、水道ビジョンや平成29年度に策定した経営戦略に基づいて計画的な施設の更新を行うことで費用の平準化及び安定的な経営の継続を図っていく。